三菱商事や三井物産が狙う「倉庫ロボット」の金脈 「脱資源化」で総合商社は次なる柱の確立が急務
資源市況によって業績が大きくぶれる総合商社。業績の乱高下を抑えながら一段成長を図るために、各社は「脱資源」分野の育成を急ぐ。展開を加速する物流DX(デジタル変革)に関連する事業もその一環だ。
9月初旬、洒落た家具をしつらえ、アットホームな雰囲気のある「Gaussy(ガウシー)」のオフィス(東京・港区)では、社員が丸テーブルを囲んで活発に議論を重ねていた。
ガウシーは倉庫ロボットサービスを主力とする物流DX(デジタルトランスフォーメーション)のベンチャーだ。元々は三菱商事が2018年頃から、物流開発部において新規事業として進めていた、倉庫ロボットのサブスクリプション事業や余剰スペースのシェアリング事業だった。
三菱商事はその両事業を独立させる形で、新会社ガウシーを今年1月に設立。大手物流施設デベロッパーのプロロジスや三井不動産などからも出資を受けて、7月から本格始動した。三菱商事が50%超の経営権を握る。
三菱商事での新規事業としての立ち上げ期から関わり、現在ガウシーの代表取締役社長を務める中村遼太郎氏は、「物流業界は”固い”と言われるが、われわれはそれを柔らかくしていく」と話す。
倉庫作業の省力化・自動化は待ったなし
市場規模が7兆円とも言われる国内倉庫業界。しかし、中村氏が「固い」と表現するように、ノウハウを持つ人材が特定の個人に偏る、あるいは古いシステムを使い続けているといった前時代的な業界体質が足かせとなり、環境変化の速さに対応できない場面が増えている。人手不足も深刻化するばかりだ。
その一方で、EC市場の拡大を受け、トラックなど物流輸送の多頻度化、多経路化が加速している。いま、倉庫作業の省力化・自動化は待ったなしの状況だ。
ただ、倉庫業を営む企業の9割が中小企業だ。自動化のためにベルトコンベアやソーター(仕分け装置)などのマテハン設備を大々的に導入するには限界がある。
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