豊田通商「鬼門」北海道で風力事業展開できる理由 巨大な送電網を整備へ、黒字化は「10年以上先」
総合商社の豊田通商は、2023年4月から北海道で、国内最大級の陸上風力発電事業を開始する。他の商社が乗り越えられなかった採算性の問題をなぜクリアできたのか。
運営が難しいとされる北海道における風力発電ビジネス。その見方を一変させる、革新的なプロジェクトになるか。
総合商社の豊田通商は、2023年4月から北海道の稚内市や幌延町を含む道北エリアで、国内最大級の陸上風力発電事業を開始する。発電電力は外部の電力事業者の接続も含めて約54万キ㌔ワット。計画通り設備が稼働すれば、北海道内の風力発電電力量は、現状よりも一気に倍増する。
北海道は海から吹き寄せる強い風に恵まれ、風力発電の適地とされている。実際、北海道の風力発電の設備導入は、青森県の約70万㌔ワット、秋田県の約67万㌔ワットに次いで、約59万㌔ワット(22年3月末時点の認定導入量)と、全国の風力発電電力量の12%を占める。中でも道北エリアは、せたな町や上ノ国町を含む道南エリアと並んで風力発電設備が集中している。
豊田通商は北海道電力への20年間売電で稼ぐ
この道北エリアで、豊田通商の100%子会社のユーラスエナジーホールディングスが稚内市など7カ所の風力発電所(風車は107基)を建設する。
また、コスモエネルギーホールディングス子会社のコスモエコパワーと中部電力が出資する新電力のLooopも各1カ所(風車は計20基)の風力発電所を稼働させる。各社はFIT制度(再生可能エネルギーの固定価格買取制度)を活用し、北海道電力への20年間の売電で稼ぐ計画だ。
ただ、北海道の既存の送電網は脆弱で、風力発電所から基幹送電線まで電気を送る手段が限られている。道内で大規模な風力発電ビジネスを成り立たせるためには、発電所だけでなく、送電網の整備がカギとなる。
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