漱石「こころ」学ばず「高校国語実用シフト」の功罪 2025年の共通テスト試作問題はデータ照合中心

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高校の国語は今年度から、新学習指導要領の下で科目が大きく再編された。これまで高校1年生の必修科目だった「国語総合」は「現代の国語」「言語文化」の2つに分割された。特徴的なのは、従来の現代文のうち論説文は現代の国語に、小説など文学作品は、古文や漢文とともに言語文化に振り分けられたことだ。

現代の国語に新たに加わったのが「実用的な文章」だ。会議や裁判の記録、報告書、企画書、法令などを扱う。指導要領の解説によれば、「実社会に必要な国語の知識や技能」を身に付けるのがその目標だ。25年からの共通テストは、この科目再編に対応したものなのだ。

科目再編については「教材の読解を板書して教員が話すだけの従来の授業と比べ、生徒が話し合いプレゼンをするなど、主体的に学習する時間が増えた」(前出の進学校教員)とポジティブな側面もある。一方、現場の国語教員の多くが「理科や社会の背景知識も必要な実用的な文章をどうやって教えるべきか、知見がない」と悩む。

小説を教えるのが後回し

弊害もある。2単位の「言語文化」の中に、小説などの近現代文学、古文、漢文の3つが押し込められた結果、小説を教えるのが後回しになってしまうのだ。

前出の中堅校教員は言う。「入試で出る古文の基礎的な内容は、高1のうちに詰め込む必要がある。漢文もある程度は押さえるべきだ。するとどうしても、小説をやる時間がない」。高1なら、これまで芥川龍之介の『羅生門』などをじっくり学習してきたが、今は短時間で済まさざるをえない。

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