漱石「こころ」学ばず「高校国語実用シフト」の功罪 2025年の共通テスト試作問題はデータ照合中心

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12月5日発売の名著特集では、混迷の時代を生きる現代人が学びたい名著を特集している

実用的な力の向上を目指す国の方針により、高校の国語教育が極端な方向へ向かおうとしている。

11月9日、大学入試センターが発表したのは、2025年1月に実施される大学入学共通テストの試作問題だ。新たに追加される「情報」や「歴史総合」などと併せて、国語で新たに追加される大問のサンプルも公表された。

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示されたのは大問が2つ。1つがSDGs(持続可能な開発目標)に関する報告書を、統計など、6つの資料と照合して読解する問題。次が「日本語の言葉遣い」のリポートについて、3つの資料を読み穴埋めなどをする問題だ。

実際の共通テストでは、この試作問題に該当する大問1つに従来の論説文、小説、古文、漢文を加えた大問5つを90分で解く。新設の大問にかける時間は20分も取れない。

週刊東洋経済 2022年12月10日号(12月5日発売予定)は「武器になる 名著」を特集。戦争や感染症、ポピュリズムの台頭など、混迷の時代にこそ読むべき古典を紹介している。

問われるのはデータ拾いの速さ

都立のある進学校の国語科教員は、試作問題を見てため息をつく。「難問ではなく、うちの生徒なら解けるだろう。ただ問われるのはデータ拾いの速さで、これを国語のテストに入れる必要はあるだろうか」。別の都立中堅校の国語科教員は「文部科学省が持っていきたい方向はこっちなんだな、とよくわかった。訓練をして、点を取れるようにするしかない」と語る。

この教員の言う「文部科学省が持っていきたい方向」とは何か。

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