中国「iPhone工場」、従業員が"大量離職"の大混乱 工場周辺に労働者が次々現れ、SNSでも大騒ぎに

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「工場2万人感染」の情報が流れると、今度は感染を恐れたり封鎖生活に耐えられなくなった従業員が離職し、徒歩で半日~1日かけて自宅に戻ろうとしたため、これが「脱走」としてSNSで拡散した。

さらに大きな荷物を背負って路上を歩く元従業員に周辺の住民が食べ物や飲料を提供する動画がSNSに投稿されると、従業員の待遇を巡って鴻海や地元政府への批判が高まった。

iPhoneの生産繁忙期と感染拡大、そしてゼロコロナ政策が重なり、鴻海と地方政府は極めて難しい局面に立たされることとなった。鄭州市内は感染拡大が止まらず、11月2日にiPhone工場のあるエリアがロックダウンした。ゼロコロナ政策に沿うと、感染を封じ込めることが最優先になる。

iPhoneは11月以降に需要のピークを迎える

一方で、iPhoneは11月以降に需要のピークを迎え、中国最大のネットセールである「独身の日セール」に続き、ブラックフライデー、クリスマス商戦がやってくる。鴻海の鄭州工場は9月の新機種発表をにらみ、毎年8月ごろから従業員募集を始め、最盛期には30万人以上が働く。10月時点でも工場で働く季節労働者は20万人に達していた。

従業員の多くは河南省各地から集まっており、鴻海の鄭州工場は省の雇用や税収、輸出に多大な貢献をしている。生産の減少は鴻海のみならず、河南省経済にとっても大きな痛手となる。さらに大勢の従業員が離職して移動すると、感染対策上の脅威にもなる。

かと言って習近平政権が「共同富裕」を打ち出し、行きすぎた資本主義の是正に動いているご時世では、離職して故郷に帰りたい従業員を止めることはできず、逆に手厚い支援を求められる。SNSの声に押される形で、鄭州工場は従業員が故郷に戻れるようバスを出したり、手当の引き上げを余儀なくされた。

一連の騒動が表面化して以降、鴻海トップの劉揚偉董事長が事態収拾の指揮を取ると表明し、河南省長の王凱氏も鄭州入りした。ただ、あっちを立てればこっちが立たずで、1カ月経っても感染も工場内の騒動もどちらも沈静化できずにいる。

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