東武と秩父鉄道、東上線を「観光路線化」する狙い 埼玉の「プラチナルート」乗り放題券の成長余地
プラチナルート乗車券の新たな転機となったのが、2022年10月20日の「ふかや花園プレミアム・アウトレット」の開業だ。寄居―三峰口間だった秩父線内フリー区間を同日以降、寄居からアウトレット最寄り駅のふかや花園まで拡大した。値段は大人1900円で据え置いた。
秩父鉄道は10月1日のダイヤ改正で、ふかや花園駅に急行やSLパレオエクスプレスが停車するようしたほか、熊谷―寄居間で大幅な増発を実施。運転本数は、平日は上下計60本から92本に、休日は58本から94本に増えた。長瀞へのアクセスや東上線との乗り継ぎ利便性も向上させた。秩父線では3月に全駅で交通系ICカードが使えるようになっている。
乗り放題のメリット生かす
両社の担当者はどのような利用を想定しているのか。
東武鉄道営業部営業企画推進課の丸山谷優さんは「午前は長瀞で遊んで、午後はアウトレットでショッピング、という使い方が理想です」とアピールする。
一方、寄居から秩父の先のほうまで行くと時間がかかる。「もちろん秩父まで行って帰ってくるだけでもおトクですが、三峰口あたりは秩父鉄道さんと西武鉄道さんで頑張ってもらっても……」と“ライバル”への配慮も忘れない。「まずは日本の方に川越、長瀞、秩父といった埼玉県のよさを知ってもらい、次のステップとして外国人観光客にも来てもらえるようにしたい」と強調する。
秩父鉄道運輸部運輸課の八戸一馬さんは「1日で回るのは確かに大変かもしれないですが、三峰口まで行けるおトク感を感じていただければ。出発地や目的地によって、東武さんと西武さん、今回はどちらで行こうかと選択肢も広がります」と語る。寄居でプラチナルート乗車券を購入しても、三峰口までの往復運賃は通常1640円するため、東上線で帰れば交通費を抑えられる。
プラチナルート乗車券は2022年11月には販売枚数が初めて月1000枚を超える見込み。これからの成長の余地はまだまだありそうだ。道路の渋滞を避けることもでき、乗り放題だからこそ、行先を当日の天気や気分次第でアレンジできる自由度も高い。何気なく降りてみた東上線や秩父線の駅で思いがけない発見があるかもしれない。
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