東武と秩父鉄道、東上線を「観光路線化」する狙い 埼玉の「プラチナルート」乗り放題券の成長余地

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秩父鉄道寄居駅
プラチナルート乗車券の乗り換え駅となる寄居駅の秩父線ホーム。後ろに見えるのは東武東上線の電車(記者撮影)
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埼玉県には、東京の都心からアクセスしやすく、歴史情緒あふれる町並みや四季折々の自然を気軽に楽しめる観光地がある。

例えば秩父。長瀞の宝登山神社と並び、秩父神社、三峯神社がパワースポットとしてよく挙げられる。鎌倉時代から続く秩父三十四所観音霊場に加えて、現代では「あの花」で親しまれる『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』をはじめ、アニメの“聖地巡礼”の地でもある。また、季節の花やグルメ・酒といったさまざまな切り口がある。

東上線を観光利用に

埼玉県は、秩父に長瀞と川越を合わせた3つのエリアを周遊する観光ルートを売り込んでいる。その名も「SAITAMAプラチナルート」。新型コロナウイルスの感染拡大前に外国人観光客の呼び込みを狙って打ち出したが、日本人にとっても近場のお出かけに十分活用できそうだ。

プラチナルートを巡るにあたって重要な役割を担うのが、池袋から川越を通り埼玉西部へ延びる東武東上線。どちらかというと通勤通学のイメージが強い路線だが、終点の寄居で観光地の秩父・長瀞エリアを結ぶ秩父鉄道線と接続する。東武鉄道と秩父鉄道は2019年から1日乗り放題の「SAITAMAプラチナルート乗車券」を販売、東上線経由の観光利用を増やす狙いだ。

フリー区間は東武東上線・越生線の全線と秩父鉄道のふかや花園―三峰口間で、値段は大人1900円(小児は半額)。東上線の池袋―寄居間の普通運賃はICカードで片道902円、秩父鉄道の初乗り運賃は170円なので、池袋と秩父鉄道のいずれかの駅とを往復するだけでも元がとれる計算になる。

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