富士ソフト社長、筆頭株主への反論「論点が違う」 12月4日株主総会、社外取締役選任の行方は
筆頭株主の3Dインベストメント・パートナーズとの間で対立が続く独立系ITベンダーの富士ソフト。社外取締役を決める臨時株主総会を前に坂下智保社長がインタビューに答えた。
「3Dは3Dが提示した課題だけの話をしている。われわれは、会社全体の課題に対応できるように考えている」。そう思いを明かすのは、独立系ITベンダー、富士ソフトの坂下智保社長だ。
富士ソフトは現在、筆頭株主である3Dインベストメント・パートナーズとの対立を深めている。12月4日に開催される臨時株主総会では、両者がそれぞれ異なる社外取締役を推薦。株主にその賛否を問う。
3Dが問題視するのは「低資本効率」だ。富士ソフトのROE(自己資本利益率)は7.4%(2月時点)で、同業他社の中央値である13.3%に大きく見劣りする(2月時点)。その原因として、自社ビルを「持つ経営」や「売上高偏重主義」を挙げ、改善するように求めている。
富士ソフト側もこの指摘に対応する姿勢は見せてきた。6月には「企業価値向上委員会」が始動し、ガバナンスや成長戦略、不動産保有の見直しなどを議論している。11月18日には中間報告となる資料も公表した。
ただし、現時点での企業価値向上委員会のメンバーは取締役会のメンバーと同じ面々。過去、企業価値を上げられなかったメンバーによる委員会に3Dは納得せず、社外取締役候補4人を推薦したという経緯だ。
2人の社外取締役候補に反対表明
富士ソフトは3D提案の4人のうち、清水雄也氏と石丸慎太郎氏の2人に支持を表明し、会社提案の取締役候補の中に含めた。会社側は3人の候補を別途推薦しており、計5人が会社提案の取締役候補だ。一方、3D提案の岡村宏太郎氏と筒井高志氏の2人には反対を表明しており、この2人の賛否が臨時株主総会の焦点となる(岡村・筒井両氏へのインタビューは「富士ソフトvs株主衝突、渦中の取締役候補の直言」)。
3Dは臨時総会に向け、富士ソフトが招集通知に記載した独立性に関する表現について、「深刻な事実誤認を生じさせる」と批判している。
問題とされているのは「株式の買い増し制限、株主提案の制限等を定める合意書を締結することで、株主提案候補者の請求株主からの独立性の確保を実効性あるものにし、本臨時株主総会以降も含めて請求株主との建設的な対話のための環境を整えることも模索してまいりましたが、請求株主とは合意には至っておりません」という部分だ。
3Dは11月4日付けで独立性を担保する誓約書を結んでおり、独立性は担保されていると主張している。両者の溝は深まるばかりだ。
今回の臨時総会の議案について、米議決権行使助言会社のISSは筒井氏に賛成を推奨する一方で、岡村氏に反対を推奨した。理由として、取締役会の規模に対する懸念などを挙げている。ISSは会社提案候補で弁護士の仁科秀隆氏にも反対推奨し、「経験や専門分野が現時点で重要ではない」としている。一方、米議決権行使会社のグラスルイスは、会社の意見を尊重し、会社提案の5人に賛成、岡村氏と筒井氏に反対を推奨。意見が分かれる状況となっている。
混乱必至の総会が目前に迫る中、富士ソフト側は現在の状況をどう捉えているのか。社長の坂下氏に話を聞いた。
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