国鉄に対抗「起死回生策」、福井鉄道200形の記憶 路面と郊外直結の画期的電車、保存へ修復進む

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しかし、1970年代になると福井県にも急激なモータリゼーションが到来。福鉄は危機の時代を迎え、鯖浦線や南越線は廃止された。

そんな中でも長年主力として走り続けた200形だったが、2006年4月には大規模な車両の置き換えによって元名鉄の路面電車タイプの車両が全線の主力となった。さらに2013年3月にはF1000形超低床車両(フクラム)が登場。ますます200形は肩身が狭くなる中、3編成のうち201号・202号は引退し、残る203号も2017年4月に事実上の引退というべき休車扱いとなってしまった。

その後は北府駅の車庫脇の側線に野ざらしのまま置かれ、年々車体の腐食も始まり朽ち果てるままだったが、200形に思いを寄せる「鉄道友の会福井支部」や地元の市民グループ「北府駅を愛する会」の人たちの署名活動もあり、保存を求める声が越前市をはじめ行政に届き、クラウドファンディングによる支援「北府駅鉄道ミュージアム整備事業」として200形を保存することになった。

2023年春に公開

2022年夏からは、203号の車体補修や機器の整備、塗装、座席のクリーニングなどに着手。6月5日には側線から車庫まで自走して車庫に入り整備を受けることになった。塗装にあたっては、筆者はデビュー当時の姿をコダクロームで撮影しており(本稿のトップ写真)、青はこのフィルムの色彩を参考に国鉄20系客車に使用した深い青色に決定した。

200形修復
保存のため塗装し直した200形の姿(写真:福井鉄道)

そしてこの秋には塗装も終えて車庫の中で最後の車内整備を行い、2023年春にオープンする北府駅鉄道ミュージアム(仮称)での公開を待つのみとなった。ちなみに、同時に並列展示される車両については当日までのお楽しみといったところである。

北陸新幹線延伸で注目が集まる福井だが、福武線の始発駅として親しまれた「越前武生駅」はその名を新幹線の新駅名「越前たけふ駅」に譲る。福鉄の新駅名は「たけふ新」になることが決まっており、これはかつての同駅名「武生新」と同じ読みだ。これから福井鉄道を訪れるなら、「越前武生駅」の駅名と、電車の行先表示にも注目しておきたいところである。

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南 正時 鉄道写真家

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みなみ・まさとき / Masatoki Minami

1946年福井県生まれ。アニメーターの大塚康生氏の影響を受けて、蒸気機関車の撮影に魅了され、鉄道を撮り続ける。71年に独立。新聞や鉄道・旅行雑誌にて撮影・執筆を行う。

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