日本人が知らない米国中間選挙の「ヤバイ展開」 次の大統領選を左右する「選挙否定派」の存在

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今回は、2020年の大統領選は大規模な不正が行われており真の勝者はトランプ氏だと主張する共和党候補が数多く出馬している。自分が負けても結果を受け入れないとする「選挙否定派」だ。

大統領選にトランプ氏が出馬するとなれば、あるいは、他の共和党員が大統領候補になったとしても、州議会などで共和党が優勢となれば、自党の候補が有利になるように投票結果を受け入れなかったり、変えたりする可能性が懸念される。これはトランプが2020年に試みて失敗したことだ。

「選挙の正当性」を争う対決に?

カンザス州の元州務長官のクリス・コバック氏も「否定派」の1人で、今回は州司法長官選に出馬する。同氏もアメリカの選挙では大規模な不正が行われていると主張しており、トランプ氏の結論を出さずに解散された選挙不正調査委員会では副委員長を務めた。

対立候補のクリス・マン氏は、飲酒運転の車による事故によって警察でのキャリアを諦めてロースクールに行った人物で、州司法長官の仕事は政治的アジェンダの追求ではないと主張している。

「コバックは2020年の大統領選をいまだに否定しており、州民はコバックが権力を握ることを心配している。州のあらゆる所で耳にするのは、彼が職務を果たすことに関心を持っていないという話だ。彼の関心は政治的アジェンダの追求であり、それは有権者から投票権権利を奪うことだ」(マン氏)

バイデン大統領は2日、民主党の勝利の可能性を高めようと、民主主義に懸けるという決意を明確にした。

大統領はワシントンでの演説で、「知事、連邦議会議員、州司法長官、州務長官など、アメリカのあらゆるレベルの公職への立候補者の中に、自分が参加している選挙の結果を受け入れるつもりがない者がいる」と語った。「それはアメリカの混乱への道であり前代未聞である。非合法、そして非アメリカ的だ」。

ジェームズ・シムズ ジャーナリスト

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James Simms

1967年生まれ。米紙ウォールストリート・ジャーナル元コラムニスト。日本で幼少期を過ごし、小泉政権の経済政策などを取材。元外国特派員協会会長 。現在フリーランスのジャーナリストとして『フォーブス』誌などに寄稿するほか、テレビコメンテーターも務める。

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