簡単ではないゲーム、「VALORANT」が人気の秘訣 ライアットゲームズ日本法人のトップに聞く

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日本ではあまりなじみのなかったタクティカルシューターの難しさが、さまざまなFPSタイトルをプレーしてきたユーザーに対し「もう少し自分のゲームスキルを伸ばせるかもしれない」と受け止められたのだろう。これまでのゲーム体験を超えていけるようなゲーム性を持っている。

また、VALORANTは「スタイリッシュなFPS」をコンセプトにデザインしている。イベントの音楽、映像的なものも見ていてプレーヤーに「クールだね」と思ってもらえるような体験をゲームの中に再現している。

おそらく、ほかのFPSタイトルに比べても年齢層が若いと思う。かっこいい映像や被写体がZ世代特有のパーソナリティを投影しやすいのだろう。

日本チームの上位獲得で生まれたもの

ーーZ世代にささるゲーム性なのですね。

藤本:数多くのストリーマーにVALORANTをプレーしてもらったことがある。ストリーマー同士がときに言い合いをしながら敵に打ち勝っていくストーリーは、見ていているだけでも自分に投影しやすい。ストリーマーとゲームを見ている人の距離感がぐっと縮まる効果もあったのではないか。

キャプ
ブランド・マネージャーの佐藤翔太氏(撮影:梅谷秀司)

佐藤翔太ブランド・マネージャー(以下、佐藤)当社が実施したユーザーアンケートでも「次にどのゲームを始めてみようと思うか」という問いに対して、日本のZ世代は突出してストリーマーの影響が大きかった。そのストリーマーの多くにプレーしてもらえたのは大きかったと思う。

しかも、ストリーマーの多くが元々はシューティングゲームがうまく、ゲームになじみがある人だったからこそ気軽にVALORANTを始めてもらえた。

――VALORANTのeスポーツで日本チームが3位に入ったことも大きいのでは。

藤本:格闘ゲームやサッカーゲームという一部ジャンルを除いて、全世界に展開しているゲームで日本チームがトップに食い込んだことはほとんどなかった。大体のスポーツでも起こりうるが、(自国の勝利を)間近で見ることでナショナリティを意識させられることがある。それによって、ゲームに対する熱量が高まったことがが大きかった。

ほかにも、ストリーマーがウォッチパーティ(一緒に観戦すること)を開いてくれるなど、1つのコミュニティカルチャーが形成されていったことも大きい。

――日本では家庭用ゲーム機が主流だと思われますが、VALORANT​はPCゲームだけで展開していますね。

藤本:競技性を突き詰めていくと、今のところPCが一番(高度な)操作が実現できるプラットフォームだと思う。eスポーツでも「League of Legends」(同じくライアットゲームズが提供するゲーム)と「VALORANT」はプラットフォームをPCにして、より厳密な操作でシビアな戦いができるようにしている。

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