小山バス事故「6年前の軽井沢事故」との共通点 不慣れな運転士による事故が後を絶たない理由

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静岡県小山町の県道で横転した観光バス(写真:共同通信)

静岡県小山町の県道「ふじあざみライン」で、観光バスが道路脇の法面に乗り上げて横転し、乗客1人が死亡、26人が重軽傷を負うという甚大な事故が発生してから、もうすぐ1カ月が経つ。

当初は車両トラブルや飲酒運転など、さまざまな原因が臆測として流れたが、警察による捜査が進むにつれて、26歳の運転士の操作ミスが原因だという可能性が高まっている。

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具体的には、高いギアのまま下り坂に入り、シフトダウンを試みたものの回転が合わずに変速できず、足踏み式ブレーキを多用。その結果、ブレーキがフェード(過熱)現象を起こして思うような減速が得られず、惨事に至ったという証言が多い。

一連の報道を聞いて、個人的には「またか」と思った。6年前の2016年1月、長野県軽井沢町の碓氷バイパスで、スキーバスがガードレールを突き破って道路脇に転落し、15人が死亡した事故と状況が似ているからだ。

筆者は軽井沢スキーバス事故について、発生の2週間後、この東洋経済オンラインで「悲惨なバス事故を繰り返さないための教訓」として記事を公開している。

当時は自分自身も、貸切バス業界や大型バスの構造について知識が浅かったため、現役の高速バス運転士などに話を聞き、その言葉を記事として伝えた。今も読むことができるので、気になる人は目を通していただければと思う。

大型バスのブレーキシステム

当時の記事を読み返しながら、まず似ていると感じたのは、事故の原因だ。軽井沢の事故は、速度超過が原因だった。碓氷バイパス最高峰の入山峠通過後の下り坂で、制限速度50km/hのところを約100km/hで走行したという記録がある。

軽井沢の運転士は事故で死亡したため直接の証言はないし、下り坂に入って間もない事故のためブレーキのフェードは起こっていない。しかし、その前段階、「シフトダウンがうまくいかず、フットブレーキで十分な減速が得られなかった」という点が共通している。

以前の記事では、大型バスの運転士にも話を聞いている。それによると、大型バスの車両重量は12~13tと、小型乗用車の約10倍、小型バスの3倍以上もあるので、フットブレーキのほかに排気ブレーキ、圧縮開放ブレーキ、“リターダー”と呼ばれるプロペラシャフトに負荷を与える減速装置などが装備され、走行中の減速で「フットブレーキに頼ることはほとんどない」ということだった。

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