梨泰院事故「娘が」「兄が」犠牲者家族の嗚咽と絶叫 犠牲者家族も生存者も肉親、友人の死に悲しみの声

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チェさん(33)は10月30日午前1時ごろ、韓国・江原道江陵市の実家にいる両親から「梨泰院のホテル近くで弟(24)が行方不明になった」との連絡を受け、弟を探しに現場を訪れた。9歳下の弟は兄に頼りっぱなしだったという。どうか家で寝ていてくれと期待しながら訪れた弟の家には、誰もいなかった。10月30日午前9時30分頃、警察が弟の死亡を伝えてきた。江陵市から徹夜して車を運転してソウルに到着したチェさんの両親も、知らせを聞いて大声で泣いていた。

「誰も助けてくれなかった」

26人の外国人犠牲者は指紋登録がなされておらず、身元確認が難しかった。韓国系で中央アジア出身(高麗人)であるキム・オリアナさん(29)は、今回の事故で行方不明となったいとこのキム・オクサナさん(24)にとって韓国にいる唯一の親族だった。

キムさんは10月29日午後11時9分ごろ、一緒に梨泰院に出かけた同僚が「一緒にいたはずのオクサナが見当たらない」との連絡を受け、いくつかの病院を回って妹を探し始めた。キムさんは、「いとこがまだ生きていると信じている。1カ月前に会ったとき、笑っていたいとこに、こんなことが起きるなんて思いもしなかった」と声を詰まらせた。

オーストラリア出身のナイデンさんは「事故現場から私はなんとか脱出できたが、一緒にいた友人1人が死亡し、2人が病院にいる」と大声で泣いていた。ナイデンさんは「現場で助けてくれと叫んだが、誰も私たちを助けてくれなかった。だから友人が死んだり、ケガをしたのだ」と怒りを露わにした。

10月30日午前6時から行方不明者の申告をし、病院を転々と回って友人を探しているというスリランカ出身のカディさん(36)は、友人2人とともに「昨晩から梨泰院に住む友人と連絡が取れず、行方不明申告を行った後、遺体が安置されている所を行ったり来たりしている。スリランカにいる友人の家族もニュースで事故を聞き、息子の行方を捜しているが、まだ情報がない」と肩を落とした。

行方不明者の身元確認を待つソウル市漢南洞の公共施設では、身内の死亡という報に接した家族たちの悲しむ声が絶えなかった。ある夫婦は死亡を知らせる電話を受けて向かおうとしたが駐車場で動けなくなり、車の側でしばらく泣いた後にようやく運転席に座ったという。子どもの死亡を確認した後、施設の駐車場に向かったある家族の絶叫と嗚咽が施設全体に響き渡った。

待合室で他の家族が悲しむ様子を見て、「他人事に思えない。とてもつらい」と、待合室から出て行く行方不明者家族もいた。家族たちに対応していた施設勤務の公務員も、10代の親戚が病院に運ばれたという話を聞いて涙を流しながら施設を後にした。

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