そんな大輔さんが57歳になって結婚相談所に入会したきっかけがある。定期的に通っていた歯科医院の歯科衛生士からLINE IDを渡されたのだ。
「診察中もよく話してくれた人で、医院を辞めることになったからとハガキをくれたのです。そうやって公私混同をするから辞めざるを得なくなったような女性でしたが……。何度か飲みに行きましたが脈なしだとわかりました。他の年上男性とも飲みに行っているようだったので、僕も飲み代として使われたのだと思います。20歳も年下の女性に片想いをしたのがバカでした」
「勢いがあるうちに」近所の結婚相談所へ
大輔さんは失恋を無駄にはしなかった。「勢いがあるうちに」と近所の結婚相談所をネット検索し、すぐに訪ねて入会したのだ。「これでダメならあきらめよう」という背水の陣の婚活である。
「36歳のときに購入した千葉県内のマンションでずっと一人暮らしをしていました。休日の夜に一人しゃぶしゃぶをしてもつまらないので、毎週末は同じ県内にある実家に帰るようにしていたんです。父は20年以上前に他界しているので、僕が帰省することに母も喜んでくれていたと思います。でも、それではいつまで経っても自分の人生は歩めない気もしていました」
社内恋愛しか知らない大輔さんにはちょっと子どもっぽい結婚の条件があった。血液型がAB型の女性がいい、という意味不明のこだわりである。かつてのお見合いであれば、仲人役の人から「いい大人がくだらないことを言うな」と説教を受けるところだが、膨大な数の会員情報を共有している現代の結婚相談所では血液型で複数の相手をネット検索できてしまう。便利さの功罪である。
AB型で、自分と生活圏が同じで、45歳から55歳までの女性を選び出した大輔さん。うち5人ほどにお見合いを申し込んだが断られてしまった。そんなときに大輔さんにお見合い申し込みをしてくれたのが美紀さんだった。ちなみに彼女の血液型はB型である。
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