岸井ゆきの、売れても「等身大の自分」求める理由 仕事を居場所にしたくない、戻る場所は別にある

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樋口:『余白』を読んで印象的だったのが、岸井さんはバリスタの専門学校へ向かう電車の中でスカウトされたということ。そんなことあるんだ? って驚きました。渋谷や原宿とかいろんな繁華街で声をかけられるのはよくありますが、電車の中っていうのは聞いたことがない。不審者と思っちゃいそう。

「スカウトされなかったら、コスタリカでコーヒー豆を売ってたかも」(岸井)

岸井:はい、びっくりしました。当時、バリスタの学校が神奈川にはなくて、東京まで通っていたんですけど、まだ始めたばかりで慣れてない時だったので、やっぱり東京ってすごいな〜って思った記憶があります。

樋口:電車は何線だったんですか? スカウトマンは男性?

岸井:山手線で女性でした。多分、男性だったら逃げていたと思います(笑)。

樋口:ナンパとかよからぬものだと思っちゃいますよね。僕がその場面を見かけたら注意しに行っちゃうかもしれない! そして岸井さんはそののち、お母さんの付き添いで事務所に行ったんですね。もしその電車に乗っていなかったら、全然違う人生を歩んでいたかもしれないですね。

岸井:コスタリカあたりでコーヒー豆を売っていたと思います! それはそれで、楽しそう。

樋口:コスタリカ! 特別な縁があるわけではないですよね?

岸井:はい。でもコスタリカはコーヒー豆の生産が盛んで、治安も良く住みやすいらしいんです。日本人も多いそう。私は海外旅行が大好きで一人でよく行くのですが、コスタリカはずっと気になっているんです。

(写真:内田裕介(Ucci))

樋口:岸井さんは子供の頃から感受性が強くて、映画とか舞台が大好きだったそうですね。作品に感動することがあっても、自分が出る側になるということは考えなかったんですか?

岸井:子供の頃は、そもそも俳優を職業として認識していなくて、テレビに出ている人は別世界の人だと思っていたんです。海外にも行ったことがないし、洋画のヒーローは本当にいると思っていて、『スター・ウォーズ』の世界とかもどこかに本当にあるんだろうなって(笑)。

樋口:ワハハ。素直すぎます!

岸井:あと、うちがニュースやクイズ番組ばかり見る家で、バラエティ番組に俳優さんが素の感じで出ているところも見たことがなかったんです。だからバリスタもそうですけど、ずっと仕事をするなら衣食住に関わる職業で生きていきたいと思っていました。

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