岸井ゆきの、売れても「等身大の自分」求める理由 仕事を居場所にしたくない、戻る場所は別にある
樋口毅宏(以下:樋口):今日はお会いできてうれしいです。どうぞよろしくお願いします。
岸井ゆきの(以下・岸井):こちらこそ、光栄です。よろしくお願いします。
「強烈な存在感で、誰だろうこの人は?って妻と大騒ぎした」(樋口)
樋口:岸井さんを初めてお見かけしたのは、2018年に放送されたNHKの朝ドラ『まんぷく』でした。髪を2つに結った14歳の少女・タカを演じられましたが、強烈な存在感で、誰だろうこの人は?って妻と大騒ぎしたのを覚えています。朝ドラは放送が半年間に及ぶので、どうしても中だるみしがちですが、岸井さんの衝撃的な登場でまた心掴まれましたね。
岸井:ありがとうございます! うれしいです。
樋口:その後、岸井さんをCMで見かけて、瞬く間にドラマや映画でも引っ張りだこになって。やっぱり!って思いました。岸井さんの実感としては、朝ドラで知名度が上がったという感覚はありますか?
岸井:そうですね。『まんぷく』は大阪局の制作だったこともあり、放送が始まると大阪ではよく声をかけられるようになりましたね。土地柄のせいか、東京では気づかれても声をかけられることは少なかったですけど、大阪は皆さん気さくで(笑)。朝ドラって本当にたくさんの人が見ているんだなって実感しました。
樋口:近年、岸井さんといえば映画『愛がなんだ』で演じた、片思いを続けるテルコのイメージが強かったですし、浜辺美波さんとダブル主演した映画『やがて海へ届く』、Youtuberを演じた映画『神は見返りを求める』もすごく印象的でした。そして今作『犬も食わねどチャーリーは笑う』。確実に女優としての幅が広がって、ステップアップしているなと。及ばずながら、一人の役者さんの成長を見せていただいている感じがします。
岸井:それはうれしいです。確かに色々なお仕事をいただけるようになったと思います。ただ自分としてはそこまで成長している実感はないんですけど(笑)。
樋口:そうなんですか。作品では、香取慎吾さん演じる鈍感夫・裕次郎の悪口をSNSの「旦那デスノート」に書く妻・日和(ひより)を演じましたが、とにかく岸井さんの色々な表情が見られて楽しかったです。特に香取さんを睨みつける顔にはゾクッときました! 日本版「ゴーンガール」って感じ(笑)。
岸井:本当ですか⁉(笑)