勤務時間外の「保護者や近隣住民の電話」に学校はどこまで対応すべきか 留守電広がる一方、担任が携帯で対応する例も

✎ 1〜 ✎ 14 ✎ 15 ✎ 16 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

緊急連絡用には、大分市のように教員の公用携帯へというのは、私が知る限り、まれな例であり、多くは教育委員会か警備会社につなぎ、必要に応じて校長などに連絡が届く仕組みとなっている。

妹尾昌俊(せのお・まさとし)
教育研究家、合同会社ライフ&ワーク代表
徳島県出身。野村総合研究所を経て、2016年に独立。全国各地の教育現場を訪れて講演、研修、コンサルティングなどを手がけている。学校業務改善アドバイザー(文部科学省委嘱のほか、埼玉県、横浜市、高知県等)、中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」委員、スポーツ庁、文化庁において、部活動のあり方に関するガイドラインをつくる有識者会議の委員も務めた。Yahoo!ニュースオーサー、教育新聞特任解説委員、NPOまちと学校のみらい理事。主な著書に『教師と学校の失敗学 なぜ変化に対応できないのか』(PHP新書)、『教師崩壊』(PHP新書)、『こうすれば、学校は変わる! 「忙しいのは当たり前」への挑戦』(教育開発研究所)、『学校をおもしろくする思考法 卓越した企業の失敗と成功に学ぶ』『変わる学校、変わらない学校』(ともに学事出版)など多数。5人の子育て中
(写真は本人提供)

このような留守電などによる対応でも、まだまだ手厚いほうだと思う。少なくとも次の4点について考える必要がある。

第1に、大分市の例のように、18時(または19時)以降から留守電としている学校は全国的にも多い。だが、勤務時間は17時前後までだから、留守電になる18時や19時までの対応は勤務時間外にもかかわらず容認されてしまっている(勤務時間終了時にバッサリ留守電に切り替わる学校も出始めたが、おそらくまだ少ない)。

第2に、当たり前の話なのだが、命の危険のある本当の緊急時でも、保護者や児童生徒が頼るべきは110番(警察)か119番(救急)であり、学校ではないはずだ。

第3に、コロナ対応で必要性があるからといっても、学校は保健行政の機関ではないのだし、時間外対応が前提でいいのだろうか。医療機関から保健所に連絡はいくし、学校や教育委員会が当日中に知る必要はあるのか。学校、教育委員会としては、学級閉鎖や休校の判断をするためということもあるかもしれないが、判断に迷うほど感染者が増えてきた時期ならば、しばらく学級閉鎖にすればよいのではないか。

第4に、仮に学校への連絡が必要だとしても、電話以外の方法もたくさんある。例えば、保護者のスマホなどからアクセスできる入力フォームを作っておけばよい。

上記の4点を検討すると、時間外の電話対応は「原則ナシ」としてよいし、公用携帯を持ち帰らせるほどではないと思う。なお、修学旅行中などのための公用携帯の支給または公費による貸し出しなどはあって然るべきだ。

次ページはこちら
関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事