日韓"急接近"でも「徴用工問題」が解決しない真因 韓国側は岸田首相の「お返し」に注目している

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合意に向けた最大の障害となっているのは、両国の国内政治である。「尹大統領と岸田首相の政治基盤の弱さが、このプロセスに影響を与える要因となっている」と指摘するのは、最も影響力のある韓国の日本研究者であり、尹政権のブレーンでもある朴喆熙(パク・チョルヒ)教授だ。

韓国の野党「共に民主党」はこの解決策に反対の構えを見せている。魏氏は、この解決策を支持する同党の幹部らを含む超党派グループを作ることを提案しており、尹大統領に対しこのアプローチを取るよう公に求めている。

岸田首相による「お返しのジェスチャー」が必要

しかし、同様に重要なのが、岸田首相が何らかのジェスチャーを示すことだ。そうすれば、韓国で国民の幅広い支持を得られるかもしれない。日本側は協定遵守に過度にこだわる立場を乗り越える必要があると、韓国専門家であるスナイダー氏も主張する。「韓国側は、交渉を持続的なものにするために、日本側からの何らかの"お返しのジェスチャー"を必要としている」。

残念ながら、岸田首相は依然として、韓国に対する根深い不信感を持った自民党の右派にとらわれている。さらに事態を悪化させているのは、岸田首相の政治基盤の弱さである。

実行可能な妥協案が欠如しているのではなく、国内政治こそが、日韓の正常な関係の回復に向かう狭い道をふさぐ真の障害となっているのだ。

「今後は、尹大統領と岸田首相はそれぞれの国民を置いていかないように、ゆっくりと事を進める可能性が高い」と、アメリカの外交官として両国で務めた経験の長いリヴィア氏は言う。

しかし、絶好の機会はそう長くは続かないかもしれないため、現在協議にあたっている日韓の当局者は年末までに合意をまとめたい考えだ。その"期限"までに「北朝鮮がきっと、協力することが強い共通の利益であることを日韓に思い出させてくれるだろう」。

ダニエル・スナイダー スタンフォード大学講師

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Daniel Sneider

クリスチャン・サイエンス・ モニター紙の東京支局長・モスクワ支局長、サンノゼ・マーキュリー・ニュース紙の編集者・コラムニストなど、ジャーナリストとして長年の経験を積み、現職に至る。

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