日本の小学生「丸暗記テスト」が引き起こす学力低下、その「深刻な現状」とは? 子どもの「つまずきを知る」テストに託す希望

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また接続詞の意味を理解できていないケースもあれば、前述のように時間や空間の前後関係や、1週間が何日、1日が何時間であるかといったことを理解できていないために、文章題を正確に読み解けないケースもあるそうだ。さらには少数ではあるが、難読症(ディスレクシア)が原因で、文章を読むのが困難な子どもも中にはいる。

だからこそ文章題を正確に読み解く力を身に付けさせたければ、「読解力がない」の一言で片付けず、個々のつまずきの原因を丁寧に見ていくことが重要になるというわけだ。

現在、今井氏らのグループは、「たつじんテスト」を全国の学校現場で活用してもらうために、「at Study」を通じて、広島県以外の自治体や学校などの教育機関にもテストの頒布を行っている。

「先生方からは、『点数を公平につけるのが大変そうな問題がある』という声をよくいただきます。一応点数のつけ方については示していますが、私の本心を言えば、『点数なんてつける必要はない。それよりも子どもの解答を見てほしい』と思っています。普段、その子どもと教室で接している先生であれば、解答を見れば、その子どものつまずきの原因や手立ても見えてくるはず。同僚の先生と話し合いながら、原因や手立てを探っていくのもお勧めです」

「たつじんテスト」は家庭への頒布は行っていないが、その考え方は家庭教育においても参考にできそうだ。子どもがテストで間違った解答をしていたときに、「もっと考えて問題を解きなさい」「もっと練習しなさい」の一言で終わらせず、何がつまずきの原因となって間違ってしまったのかについて思い及ばせるだけでも、子どもへの接し方は大きく変わるに違いない。

2つの「たつじんテスト」は、学校でのテストのあり方や、さらには学習指導のあり方を、大きく変える可能性を秘めているといえるだろう。

(文:長谷川敦、注記のない写真:kouta / PIXTA)

東洋経済education × ICT編集部

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小学校・中学校・高校・大学等の学校教育に関するニュースや課題のほか連載などを通じて教育現場の今をわかりやすくお伝えします。

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