65歳以降の「年金待機期間」乗り切る重要ポイント 覚えておきたい「47万円ルール」と在職定時改定

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さらに、妻もパートなどで働くことができれば、3つめのメリットがでてくる。今回の年金大改正では、パートやアルバイトなどの短時間労働者でも老齢厚生年金に加入しやすくなった。妻がパートなどで働く場合、月額賃金が8万8000円以上、労働時間が週20時間以上といった要件を満たせば、原則70歳までは厚生年金に加入できる。

仮に夫と妻の年齢差が3歳(妻が年下)で、夫婦そろって受給開始を70歳に繰り下げた場合、妻が上記の要件を満たし、月額賃金8万8000円で70歳までの8年間(夫が65歳時に妻62歳で70歳までの8年間)、厚生年金に加入したとすれば、年額約4万6300円の老齢厚生年金を70歳以降、終身で受け取ることができるようになる。

これらのことから、年金の受給開始を繰り下げたときの待機期間の生活費については、まずは年金をもらわずに、「夫婦そろって働く」ことをおすすめする。

年金をもらわず働くなら47万円ルールに注意

65歳以降も働いて厚生年金に加入することで、原則として「繰り下げ受給による増額」と「65歳以降も厚生年金に加入し続けることによる増額」の「ダブル増額」の恩恵を受けられる。

ただし、注意をしていただきたいことがある。それが年金の「47万円ルール」だ。「在職老齢年金制度」の「月額47万円」という年金支給停止の基準額が適用されてしまうのだ。これは、どういうことなのか。

まずは「47万円ルール」について説明する。在職老齢年金制度とは聞きなれない用語かもしれないが、ようは「働きながらも老齢厚生年金を受け取れる」制度である。年金というと定年後に受け取るもの、つまり「働かなくなってから受け取るもの」と思っているかもしれないが、働いて収入を得ながらでも年金を受け取ることはできる。その際、毎月の給与と老齢厚生年金との合計が月額47万円を超えてしまうと、超過分の半分の額が年金から差し引かれてしまうのが「47万円ルール」だ。

この「47万円ルール」は、「働きながら年金をもらう」場合にだけ適用されるのではなく、65歳以降も「年金をもらわず」に働いて収入を得る場合にも適用されてしまう。そして、「47万円ルール」で減額されなかった年金額だけが繰り下げ増額の対象となる。

次ページ具体的な例をあげてみましょう
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