スバル「フォレスターSTIスポーツ」追加の真意 モータースポーツ発信のプレミアムグレード

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インテリア
フォレスターSITスポーツのインテリア(写真:SUBARU)

車体の外観は、艶を帯びた黒の装飾を使い、同じく黒を基調とした未舗装路向けのX-BRAKE(エックス・ブレイク)のような明るい加飾を排し、より精悍な姿としている。内装も黒を基調としながらも、黒とワインカラーの色を組み合わせたナッパレザーの座席を用い、上質さを加えた上級な趣もある。アルミホイールは、光沢のある見栄えで、悪路走破とは一線を画した車種であることを明らかにする。

STIスポーツの車種追加によって、フォレスターには、標準車の位置づけとなる「ツーリング」、撥水シートなどを備えた道具としての価値を際立出せる「X-BRAKE」、先進性とデザイン性を高めた「アドバンス」、ターボエンジン搭載の「スポーツ」、最上級車種に位置づけられる「STIスポーツ」と、5つの選択肢が揃うことになった。

プレミアムスポーツとしての価値創造

内装の上質さをみても、スポーツのように舗装路での高性能化というだけでなく、より上級な乗り味がSTIスポーツの価値であり、商品のプレミアム化をスバルが追いはじめた様子がうかがえる。上級志向は、クロスオーバーSUVと位置づけるアウトバックの「リミテッドEX」ともつながりそうだ。マツダを含め、スウェーデンのボルボなど国内外で、ブランドをプレミアム化する傾向が昨今強まっている。

世界的に新車市場を牽引するSUVを軸に、多彩な車種展開をするフォレスターは、1972年以来50年にわたって積み上げてきた4輪駆動技術と水平対向エンジンの組み合わせというスバルの特徴を下地とし、人気のSUVで収益を確保する戦略において、新たな駒としてプレミアムスポーツの価値を切り拓く、重要な車種追加であることを強く印象づける。

御堀 直嗣 モータージャーナリスト

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みほり なおつぐ / Naotsugu Mihori

1955年、東京都生まれ。玉川大学工学部卒業。大学卒業後はレースでも活躍し、その後フリーのモータージャーナリストに。現在、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員を務める。日本EVクラブ副代表としてEVや環境・エネルギー分野に詳しい。趣味は、読書と、週1回の乗馬。

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