すき家、深夜営業の再開に3月の"関門" 外食業界で人手不足が最も深刻化する時期
ゼンショーホールディングス(HD)で展開する牛丼チェーンの「すき家」が、24時間営業の全店再開に向けて”関門”を迎えている。
同社が設置した第三者委員会から、接客、調理、清掃などすべてを一人でこなす深夜の一人勤務体制(ワンオペ)を「過酷なもの」と指摘を受けたのは昨年7月。これを受け、8月にはゼンショーHDが深夜時間帯のワンオペを同年9月末までに解消することを発表し、複数勤務が整わない場合は店舗を一時休業する方針を打ち出した。
深夜営業の休止店舗は691店
しかし、複数勤務体制を整えるための人員確保が思うように進まず、昨年10月1日時点で全店舗の6割にあたる1254店で深夜営業を休止することになった。その後は、月平均で100店超のペースで深夜営業を再開。これを受けて、1月下旬には「すき家の深夜営業が6月末にもすべて再開へ」といった報道が相次いだ。
2月は124店の営業再開で、深夜休業店は当初の1254店から691店まで減少している。ただし、残り4カ月でこれをゼロにしようとすれば、月平均で170店強の再開が必要なため、達成に向けたハードルは高い。
そのうえ3月は、就職や進学を理由にアルバイトの主力である学生の退職が相次ぐ。ある外食企業の人事担当者が、「バイトの欠員が出て、社員が現場にヘルプで入ることがもっとも多い時期」と話すように、すき家のみならず、外食全体にとって人手不足がもっとも深刻になる”関門”なのだ。
全国に2000店近くを展開するすき家では、2月末時点で約3万5000人のアルバイトが働いており、そのうち6割程度を学生が占める。ゼンショーHDも「2月までは順調に再開したが、3月は学生の生活環境の変化で(深夜営業再開の)ペースが鈍る見通し。4月以降の採用がよければ可能かもしれないが、今のままで6月末の全店再開は厳しい」(広報)と話す。
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