ビジネスの達人たちが実践「上手なお願い」のコツ 「協力してください」よりもうまい言い方とは
では、相手の負担が大きい、大変なお願いをするときは、どう伝えればいいでしょうか。私はこんな順序で伝えることにしています。
まず最初に「ただただ申し訳ないという気持ちでいっぱいなのです」という謝罪をします。相手が「早く教えてください」「なんだか怖いですよ」と本題を催促しはじめたら「じつはこういう事情がありまして」と理由を説明します。そして「◯◯さんのチカラを借りて、要するにこれをお願いしたいのです」という本題は最後に伝えます。
普通ならば「A・〇〇をやってほしい(本題)」「B・なぜならこうだから(理由)」 「C・申し訳ありません(謝罪)」という具合に、A→B→Cの順番で話すところを、「C・申し訳ありません(謝罪)」「B・こういうわけで(理由)」「A・◯◯をやってほしい (本題)」という具合に、C→B→Aの順番で話すのです。
こうして先に「聞くことに対する覚悟」を持ってもらった上で、重要度をお伝えすることによって、引き受けていただける可能性は高まります。
疑問形を投げかけるのがポイント
脳には疑問形を投げかけられると、思考を勝手に前に進ませてしまう性質があります。たとえば、「今月中に仕上げる」という目標を立てるとき、「今月中に仕上げるぞ!」と決意するよりも、「今月中にできるのかな?」と疑問を投げかけた方が、自分を動かしやすくなります。
さらに「資料を1枚だけ読む?」「メールを3通だけ返す?」「原稿を1行だけ書く?」などと一つひとつのステップを小さくすると、心理的ハードルが下がります。(これをベイビーステップと言います)
「お風呂に入りなさい」と子どもに伝えてもなかなか動いてくれない。そんなときに「先に歯磨きにする?それともお風呂に入る?」と選択肢を与えれば、子どもはどちらかを選び、行動に移しやすいですよね。このように「やるか?やらないか?」という大きな決断ではなく、やる前提で「どっちをやるか?」という小さな選択肢を与えられると、人はついいずれかを選んで動いてしまうのです。
不動産の営業マンも、家を買うという大きな決断は据え置き、「とりあえず先に資金のシミュレーションをしますか?それとも内見だけでもしておきますか?」という言い回しを使います。
どちらも家を買うというゴールまでに必要なステップですが、選択するだけなので、 行動を起こすことに対する心理的ハードルを低く感じさせる効果があるのです。
お願いしたい内容は同じでも、言い方一つで相手が受け取る印象や、行動してもらえるかどうかが決まります。「かわいい言い方」を身につけて、人の力を上手に頼れるようになりましょう。
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