3万円台の新アップルウォッチで見えた「本気度」 「Apple Watch SE」「Series 8」実機レビュー

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Apple Watchのセットアップ画面
Apple Watchのセットアップ画面に表示される、安全性の機能。自動車事故の検出が新たに追加されている(筆者撮影)

Apple Watch SE・Series 8に共通で盛り込まれた機能はいくつもある。防塵機能はSeries 8のみだが、水泳に対応する防水機能はSE/Series 8双方に盛りこまれた。

加えて、新たに追加されたのが、自動車事故の検出機能だ。そのために256Gまで計測できる加速度センサーとジャイロセンサーを備え、前面・後面・側面からの衝突と横転を検出した際に通知を出し、応答がない場合は緊急通報を行う仕組みだ。

これまで、心拍数から不整脈の可能性を指摘したり、転んだことを検出して反応がない場合にSOSの通話を自動的に行う機能が盛り込まれてきたが、今回自動車事故の通知が入ったことは、アメリカにおいて珍しくない、死の可能性のある事態に対処する新たな機能といえる。

watchOS 9の画面
watchOS 9には低電力モードを備え、Series 8では通常18時間、最大36時間の駆動時間まで延ばせる(筆者撮影)

低価格モデルだから省いていい、という種類の機能ではないこともあり、SEからの導入を行った点はアップルの注意深い配慮がうかがえる。

iPhoneにも同様の交通事故の検出機能が入ったほか、ケータイの電波が届かない場所から衛星を通じて緊急通報を行う機能をアメリカとカナダで導入するなど、安全に強いフォーカスが当たっている。提供価値として健康や安全を盛り込んだのは、アップルが「エッセンシャルツール」(生活に必要不可欠なツール)としての役割を意識したものだ。

「watchOS 9」による機能の充実

Apple Watch SEにより高速なチップを搭載したことは、Apple Watchの入門モデルとして多くの人が手にするため、ストレスをできるだけ与えない、サクサクした動作を約束したいという部分もある。

watchOS 9のワークアウトアプリ
watchOS 9のワークアウトアプリでは、距離や時間、カロリー消費などの自分の好きなゴールを設定することができるカスタマイズ機能が搭載された(筆者撮影)

同時に組み合わせる最新のソフトウェア「watchOS 9」には、エクササイズをカスタマイズする機能や、より長い時間利用できるように一部の機能をオフにする省電力モード、コンパスアプリの刷新など、数多くの機能が盛りこまれている。

よりアクティブにソフトウェアやアプリを扱う活用方法を提案するからこそ、高速に動作するプロセッサーを備えることは重要になり、Apple Watch SEが快適なスマートウォッチのある生活を演出してくれる。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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