ウクライナ最大の攻勢、新長距離砲にロシア敗走 政府高官「続ければロシア軍を崩壊させられる」

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ロシアのプーチン大統領は8月25日、1月以降の13万7000人の兵力増員を発表した。おそらくウクライナでの損耗を埋め合わせるためだ。

ウクライナ当局者は今回の攻勢で優位に立てている理由について、欧米から供与された多連装ロケットシステム(MLRS)の射程内にあるヘルソンにロシア軍がハルキウから増援部隊を送っている最中で、防御線が手薄になっていたためだろうとの見方を示した。

ロシアはハルキウ近郊の兵員に、普段は国内の治安を担当する「国家親衛隊」のような実戦経験の浅い部隊も補充していると、ウクライナ議会のオレクシー・ゴンチャレンコ議員は指摘する。

ロシアの兵員不足はもっと深刻だという見方もある。大統領顧問のミロバノフは、「ウクライナ東部には住民全員が補充兵にされた村もある。誰も残っていない」と語る。

今回の攻勢の背後には、奪われた土地の奪還を急ぎたいウクライナの事情もある。厳しい冬が来れば、大量の雪が降り、気温は氷点下になる。

1週間以内にヘルソン攻略を開始するだろう

冬が終わるまでヘルソン解放を待つつもりはないと、ウクライナ政府当局者はフォーリン・ポリシー誌に語った。1週間以内に攻略を開始するだろうとウクライナ議会のオレクサンドラ・ウスチノワ議員は予測する。「ロシア軍は文字どおり敗走しつつある」

9月8日には、アメリカが6億7500万ドル分の追加軍事支援を発表した。これには南部戦線で威力を発揮した高機動ロケット砲システム(HIMARS)が含まれる。

それでもウクライナ政府高官は、まだ武器が足りないと訴える。とくに深刻なのは旧ソ連時代の152ミリ砲の不足だという。そのため欧米はNATO標準の155ミリ砲の供与で穴を埋めようとしている。

「補給ラインを弱体化させ、ロシアの軍事作戦能力を低下させるというのが一貫した戦略だ」と、大統領顧問のミロバノフは言う。「それをやり続ければ、ロシア軍を崩壊させることができると思う」

(執筆者:ジャック・デッチ/フォーリン・ポリシー誌記者)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事