安倍氏国葬の水面下で動く「後継選び」複雑な思惑 来年の衆院山口4区補選をめぐる駆け引き

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その洋子氏は、故安倍氏の通夜が営まれた7月11日に「参列した安倍派議員に『私は孫を出す』と明言した」(関係者)とされる。その場合、最有力視されるのは、大手商社に勤める安倍氏実兄の長男だが、本人は出馬を固辞している。

このため、別の「孫」として、安倍氏実弟の岸信夫前防衛相(現首相補佐官)の長男の信千世氏の名も挙がる。ただ同氏はすでに衆院山口2区での岸氏の後継者とされるため、「洋子氏も消極的」(同)との見方が多い。

もともと、後継者探しが始まった段階で、地元後援会が切望していたのは安倍氏の妻昭恵氏の担ぎ出しだった。しかし、昭恵氏は葬儀の報告とお礼のために出席した7月21日の安倍派総会で、「私は補選には出ません」と明言した。

総会出席者によると、その際、昭恵氏は「(安倍氏は)清和研の会長としてやりたいことがたくさんあった。ぜひそれを皆さんで引き継いでいただきたい」などと語ったという。昭恵氏は同日、岸田首相を始め、首相経験者の菅義偉、森喜朗、福田康夫各氏ともそれぞれ個別に面会、「自らの思いを伝えた」(安倍家周辺)とされる。

さらに昭恵氏は、8月初めに墓参りで地元を訪れた際、関係者に対し「東京に高齢の義母が住んでおり、彼女の面倒を見る予定です」と、当面は介護が必要とされる洋子氏の世話に専念する意向も伝えている。

地元には「昭恵さん選挙区を守ってほしい」との声も

ただ、昭恵氏は最愛の夫を突然失った際、「安倍家から出ていくべきかそのまま留まるかで、悩み抜いた」(昭恵氏周辺)とされる。「安倍家に迷惑をかけないため、死後離婚も考えたが、地元山口で後援者達と交流するうちに、やはり『安倍昭恵として生きるべきだ』と考えるようになった」(同)というのが現状だ。

だからこそ、メディアなどで対立が喧伝され続けた義母の洋子氏の介護に専念し、「将来は山口に戻って自らの人生をまっとうする」(同)という考えを周囲に伝えたとみられる。

もちろん、首相夫人時代も「家庭内野党」を自認し、奔放な言動で話題を振りまき続けた昭恵氏だけに、地元後援会も「昭恵さんの気持ちは本当にありがたい」(幹部)と口をそろえる一方で、「それならば、自ら安倍さんの選挙区を守ってほしい」(同)との本音も漏らす。

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