バス横転時の脱出対策、「天井の非常口」検討へ 名古屋事故の教訓、容易な脱出方法を研究
8月22日、名古屋で大変痛ましい事故が発生した。名古屋空港に向かう高速バスが何らかの原因により分離帯に衝突、横転し出火。運転手と旅客とみられる2人が死亡し、そのほかにも乗客7人が負傷したという事故である。
私はかねて、鉄道車両での横転時における避難通路の確保の必要性を何度も文章で訴えてきた。しかしながら、事業者や製造会社、官庁の方々にとってほとんど発生することのない事象への対応は、費用的見地や構造上の煩雑さからか、過剰装備と思われているようである。
私が提案している案件とは、実に簡単なものである。車両の天井に、避難用のハッチを設定するということだ。
側面の非常口は脱出経路にならない
バスの場合、非常口は乗車定員30人以上の車両に設置することが定められていて、非常口の位置は後面、もしくは右後方側面である。その理由を国土交通省に問い合わせると、「通常の扉(左側)が何らかの障害により使用できない場合を考慮して、逆側(右側)に設置されたのではないか。通常の扉も使用できれば、両側からスピーディーに避難が可能ではと考えられる」とのことであった。
また、補助席のあるバス車両については、「有事の際に非常口までたどり着くのは困難なために、乗車定員11人以上の車両は、窓からの脱出も可能となるように窓が開く大きさを幅500mm×高さ300mm以上と定められている」そうだ。
筆者が思うには、リアエンジンの大型バスにいたっては、その構造上ほぼ100%のバスが右側に非常用のドアを擁する。したがって、横転した場合は上方にしか避難経路が確立しない。
バスが横転した場合、側面に窓やドアを設置している車両では、窓やドアのある面は天井または床面になる。通常の大型バスは約2.5mの幅がある。横転した場合この2.5mが天井高になる。窓から脱出する場合、高さ2.5mの天井からの脱出となる。若者や中高年ならば、座席などに足を掛けつつ、上方の窓やドアから避難することも可能であろう。
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