「中露連合」が新冷戦に勝利するかもしれない理由 「中抜き」システムを構築した国家が覇権を握る

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1991年にウクライナがソ連から独立すると、ウクライナ人の自国への愛着は増し、2004年にウクライナではオレンジ革命が起こり、親EU派の大統領が誕生した。すると、それに対しロシアはウクライナ向けの天然ガス供給を止めるなどの圧力をかけた。

2022年2月に、ロシアはウクライナを攻撃した。プーチンは強いロシアを復活させようとしており、それがNATO諸国、アメリカなどの強い反発を呼び起こしていることも事実である。

新冷戦は「政治と経済」両側面

新冷戦とは、政治的事件であるだけではなく、経済的出来事でもある。ロシアと中国が結びつくことで、ユーラシア大陸全体におよぶ1つの経済圏ができ、それが、現在中国が押し進めている一帯一路政策と関係し、新しい経済システムを創出するかもしれない。しかも、一帯一路を促進するAIIBに、アメリカと日本を除くG7の国々が加盟している。とすれば西欧諸国が、中露の覇権国連合を生み出す可能性さえあるのだ。

そしてロシアと中国の連合が新冷戦で勝利をつかむことができるかどうかは、そのようなシステムをこの2国が創出できるか、あるいは乗っ取れるかということにかかっているであろう。

中国はすでに香港を政治的に制圧したことで、香港の金融市場も、中国に従属してしまうかもしれない。もしそれに成功すれば、中国の金融力はより大きくなる。

またタックスヘイブンを通した資金の動きを管理することは相当難しい。そもそもどの国の金であれ、それを流通させるのがタックスヘイブンの役割である。ロシアと中国が、香港の金融市場を経由してタックスヘイブンを利用し、巨額の利益を獲得する可能性はないのだろうか。また中国は、アメリカに取って代わって、国際機関を自らの後ろ盾とするかもしれない。

もしロシアと中国の連合がそれらに成功するなら、大英帝国の遺産を利用することで、ロシアと中国を覇権国家とする、ユーラシア大陸にまたがる覇権国家連合が誕生するであろう。イギリスとアメリカは、アメリカの次の覇権国家を生み出してしまうことになりかねないのだ。

われわれは、それが誕生するかどうかという時代に生きているのである。

玉木 俊明 京都産業大学経済学部教授

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たまき としあき / Toshiaki Tamaki

専門は近代ヨーロッパ経済史。1964年、大阪市生まれ。同志社大学大学院文学研究科(文化史学専攻)博士後期課程単位取得退学。博士(文学、大阪大学)。著書に『ヨーロッパ覇権史』『ヨーロッパ 繁栄の19世紀史』(ちくま新書)、『近代ヨーロッパの誕生』『海洋帝国興隆史』(講談社選書メチエ)、『〈情報〉帝国の興亡』(講談社現代新書)、『近代ヨーロッパの形成』(創元社)、『ダイヤモンド 欲望の世界史』(日本経済新聞出版)など多数。訳書にヤコブ・アッサ『過剰な金融社会』(知泉書館)などがある。現在、ウェブメディア「Modern Times」にて連載中。https://www.moderntimes.tv/

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