卓也:僕も勉強担当がいいかも。授業を楽しくする工夫と、芸人として舞台を面白くしようとする工夫が似ている気がします。
あばれる君:あれ、ちょっと待って。生活系担当の先生って何?
卓也:掃除やホームルーム、体育祭や文化祭を仕切る先生ですよ。
あばれる君:ダスキンが先生ってことですか?
卓也:違いますよ。

あばれる君:家がすんごいきれいな先生ですか?
卓也:違うでしょ。
あばれる君:とにかく、先生のスケジュールはあまりに痛々しいんです。放課後や休日に保護者から問い合わせが来たりして、自分の時間をほぼすべて捧げています。何十人もの世話をするから、芸能界のマネジャーさんとも似ていますよね。
卓也:先生のキャラも難しいですよね。生徒から人気なのは「ルールなんて破っていいぞ」と先生らしくない行動を取る先生で、ルールを守る先生ほど「うるせえな」と思われるじゃないですか。
「筋を通す」先生と、「生徒に寄り添う」先生
――学生時代、先生に反発したことはありましたか?
あばれる君:めちゃめちゃあったよ……中学の先生は理不尽でひどかった。不機嫌な日は至近距離でノックを打ってくるんですよ。もちろん、キツい経験をわざわざする必要はないとは思いますが、人生いろいろなことが起こる中で、動揺しない心や切り抜け方を教えてくれたのは、こうした厳しい環境だった気もするんですよね。もちろん、「水を飲むな」とかはおかしかったですが、1つの目標に向かって諦めずに頑張る経験は今でも生きていると思う。
卓也:意外と僕とあばれるさんは逆のタイプですね。僕は、生徒に寄り添ってくれた先生に感謝したいです。
あばれる君:俺はひねくれてるから、中学生ながらに、「それ、気に入られたいから言ってるんでしょ?」って思っちゃって。職人としての本物の先生なら注意すべきなのに、職務を全うしてないなと。
卓也:そう言われると、核心を突かれた気がするな。

あばれる君:生徒から嫌われても、それは自分の仕事を通した結果ですからね。どんな先生も、生徒に根負けしそうになると思うんですが、それに屈さず生徒に迎合しなかった先生はかっこいいと思います。
卓也:当時からそう思ってたんですか?
あばれる君:いや、僕はもう……嫌いだった……。今でこそ、筋が通っているなと思いますけどね。
――ご自身が先生になったら、どんな授業をしたいですか?
あばれる君:夢物語かもしれないけど、とにかく楽しく学んでもらいたいよね。「黒板をカラフルにする」とかいろんなテクニックを駆使して、躍動感ある授業をしたい。
卓也:それこそ、期末テストでクイズ大会とか楽しそうですよね。
あばれる君:期末でクイズ大会だと(笑)?
卓也:ただ暗記するだけではしんどいから、テスト範囲からクイズを出して早押し大会をしたら盛り上がるかなって。
あばれる君:いやぁ、だめだろ! クイズで本来の成績は測れないんじゃない? でも、砕けた授業をしたいといという点は同意です。クラスの委員決めも、社会で学ぶ選挙制度と関連づけてやってみたい。
――授業などを通して、生徒たちにどんなことを伝えたいですか?
あばれる君:「どんな人がいてもいいんだよ」ってことですかね。芸能界に入ってから、世の中には本当にいろんな人がいるなと日々実感しますが、お笑い芸人の仕事はそれをいかに面白く伝えるかです。人に迷惑をかけるのは別として、理解不足が生んでしまう痛ましい話もあるので、どんな人もありなんだということは言いたいですね。だからお兄ちゃん(卓也氏)みたいに、こんなに面長な人がいてもいいと思う。

卓也:それはいくらだっているでしょ!
あばれる君:ここを灰色に塗っててもいいと思うし。