無印ユニクロに酷似、中国企業が陥った「三重苦」 急成長してきた「メイソウ」に異変が起きた

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2017年には公式サイトで「無印良品、ユニクロ、ワトソンズから『世界で一番怖い競争相手』と称される」と豪語していたメイソウは怒涛の出店を続け、2021年末の店舗数は世界100カ国に5045店(中国国内が3168店で海外が1877店舗)と、「無印とユニクロを足した」数を上回るまでになった。

2020年10月にはアメリカのニューヨーク証券取引所で上場し、2022年3月にニューヨークのマンハッタンにも出店している(アメリカ上場の記事:無印そっくり?「メイソウ」米国で上場の衝撃度)。

メイソウが今頃になって「脱日本」を宣言したのは、SNSの炎上がきっかけだ。

今年7月下旬、スペインのメイソウ代理店がインスタグラムにチャイナドレスを着たフィギュア6体の写真を投稿し、「日本の芸妓の衣装」との文を添えた。

「これは中国の衣装だ」と誤りを指摘するコメントが寄せられたが、メイソウアカウントは笑顔の絵文字で返しただけでスルーしたことから、中国のSNSウェイボー(微博)で8月に入って拡散、炎上した。

メイソウはスペインの代理店が事実誤認の投稿をしたと謝罪したが、時すでに遅し。プロフィールに「私たちは日本で生まれ、世界展開しています」と記載されたバハマのメイソウインスタアカウントや、アメリカの店舗に掲示された「FROM JAPAN」の文字、さらには海外フランチャイズ契約の式典で会場に日本国旗が飾られた写真など、「日本企業を偽装する証拠」が次々に掘り出され、SNSに投稿された。

ついには8月10日、中国共産党系メディアの人民網が一連の騒動を取り上げ、「ロゴや商品、すべてが日系の風格を帯びている。ユニクロ、無印良品を連想させる」と批判。スペインでの単純な「誤記載」が、初動のまずさゆえに政治的な問題に昇格してしまった。

トラブルも後を絶たなかった

日本ブランド偽装からもわかるように、メイソウは以前からひんしゅくを買い続けてきた。ユニクロや無印だけでなく、人気が出た中国企業を模倣することも厭わず、さらにはメイソウを模倣する企業もアジア各所に出現している。

昨年春には店内に仕掛けたカメラで来店客の顔情報を無断収集・分析していたことも判明し、猛批判を浴びた(顔データの無断採集の記事:中国人が顔データの「無断収集」に激怒するワケ)。

「勝てば官軍」の経営方針は品質やブランド、知的財産権の軽視と表裏一体であり、著名ブランドからの訴訟、顧客からのクレーム、行政指導も後を絶たない。

2020年にアメリカで上場したときも、中国国内では「誇らしい」というより、「恥ずかしい」と受け止められたようだ。

そのため今回のスペインでの一件も、当初は「メイソウがまたやらかした」程度の反応だった。

スペイン人がチャイナドレスと着物の区別がつかないのは十分ありえる話でもある。だが台湾問題などを背景に反日ムードが高まっている最中に起きたメイソウのミスを、SNSはいつものようには捉えなかった。

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