日本に自動車生産は残るのか?--トヨタ、日産の賭け “最後”の国内工場(下)

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「LCCか九州か」 調達見直しを加速

「LCCで作るか、ここ九州で作るか、どちらかにしてください」。児玉工場長は目下、サプライヤー各社を説得して回っている。

九州工場では次の新車投入に向けて、調達の見直しを急ピッチで進めている。現在調達先を選定中で、エンジンとトランスミッションを除くすべての部品について、LCCもしくは地元九州のサプライヤーをノミネート。双方を競わせる形で、最適調達を模索する。

単純にLCC調達を増やせばよいわけではない。児玉工場長はある部品の物流経路を調べて驚いた。その部品はインドで生産されているが、組み付けのため、米国を経由し、国内では中部、関東を経て九州に送られていた。「物流費を含めて考えれば、九州で作ったほうが安い例もある」(児玉工場長)。地場調達は生産リードタイム縮小にもつながる。

九州工場の現地調達率は表面上、すでに7割に及ぶ。だが、現地で調達したとされる部品のうち、3割の構成部品は実は関東から運ばれている。関東で作れば人件費が高いうえに、余分な物流コストまで乗ってしまう。サプライヤーに対して、LCCか九州か、二者択一を迫る理由はここにある。

昨年4月には九州工場で新たな組織が立ち上がっている。「九州ビクトリー推進部」。生産技術だけでなく、物流など部門を超えて総勢20名が集まった。そのうち日産本社からも、購買の担当者3名が常駐。メンバーはサプライヤーに日参し、ともに改善活動に汗を流す。

まず44部品を選定し、原価の1割削減を目指す。取り組みは2次や3次サプライヤーにも及び、構成部品を一つひとつチェック。物流の見直しや、設計変更に至る場合もある。

1次サプライヤーは九州に進出する日産系の大手が多いが、真の地場化を進めるためには、2次や3次サプライヤーとして、地場企業を育成し、発掘する必要がある。メンバーは地場企業にも足を伸ばして、直接指導にも当たる。

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