数学を切り捨てるビジネスパーソンの残念な末路 「知っておくべき数学」と「捨てていい数学」

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② 答えは、「彼女は銀行員である」のほうです。おそらく間違った方のほうが多いのではないでしょうか。「銀行員で、女性運動で活動している」人は「銀行員」という集合の一部ですから当然の話なのですが、なぜか人はこれを錯覚してしまいます。こうした錯覚で可能性や該当者数を誤って見積り、失敗するシーンは多々あります。

数学の基本がわかるとこんないいことがある

改めて、ビジネスパーソンが数学を知っておくことの典型的なメリットを4つほどご紹介します。

① まず、いい意思決定やコミュニケーションができるようになります。
たとえば、上司を説得する際に、見込み利益やその確率などを適切な前提で置き、しっかりした定量分析を行ったうえでコミュニケーションできれば、「私の感覚ではいけそうです」と説得するよりも、はるかに説得力は上がります。

ある著名なコンサルタントなどは、入念に分析・作図された数枚、時には1枚のチャートを見せるだけでクライアントのトップを説得した、という逸話を数多く持っているそうです。逆に言えば、クライアントも、数学力があったおかげでその提言の意味が理解できたのです。

② 2つめに、未来予測がしやすくなります。特に昨今は指数関数的変化がいたるところで起きています。たとえば、AI訓練のコストは最近では1年に10倍のペースで低下しています。現在1000億円かかる訓練も、5年後には100万円でできるということです。こうした世界観を持てるか否かは、昨今のテクノロジーが大きな位置を占めるビジネスシーンでは非常に大切です。

別の例ですが、かつてシャープは亀山工場に多額の液晶関係の投資を行い、失敗しました。これも中国企業などの品質やコストの競争力が(AIの例ほど極端ではないですが)指数関数的に変化することを見落としたのが一因です。

③ 3つめに、人にだまされにくくなったり、錯覚を防げる可能性も増します。「この数字やグラフを信じていいのか?」を見極める際に、数学の素養は必須です。

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