部下を育てたいなら意識したい面談「回数と時間」 時間を割いて部下の話を繰り返し聞くのがカギ

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上司たちに「部下の管理をしているか」が口癖の経営陣の会社は、将来が心配になったりします。

聞くことによって部下の成長を促したいのであれば、静かな時間を提供して自分で考えさせること、そして、部下が自分で正しい選択にたどり着くまで、辛抱強く何度も聞き続けることが大切です。

コーチングの世界では、「頻度を担保すれば、相手は必ず自らの力で正しい選択にたどり着ける」というのが基本的な考え方になっています。

上司と部下も同じこと。上司が時間を割き、部下の話を繰り返し聞く。つまり「頻度を担保」すれば、やがて部下は自分の意思決定で正しい選択にたどり着くことができるようになっていくのです。

この営みが起きることで、部下は上司の助言がなくても自律的に動けるようになります。 前述の山登りの例で言えば、「部下が自分で選んだ道を登り始め、何度か道は間違えるかもしれないけれど、自分の力で頂上へ向かう正しい道を見つけられるようになる」「上司に手を引かれなくても、自分で道を探せるようになる」ということです。

それが結果に結びつけば、その結果に対してまた上司と対話ができるので、そのたびに部下は「らせん状」に成長できていくのです。

実際のビジネスの現場においては、多くの上司が半期に1回とか、多くても四半期に1回の面談で、「一発勝負」で決めようとしてしまう……。会社側の事情なのかもしれませんが、ここはなんとか「頻度の担保」を意識してほしい。部下に成長してもらうにはトライ・アンド・エラーが必要だと認識してください。

仕事中でも「話しかけやすさ」を演出しよう

部下を成長させるためには、話を聞く頻度を担保するのがよいとお伝えしました。ただ、そんな時間をなかなか取れないのが、多くの職場の現状だと思います。逆に、毎朝、仕事前に上司との面談時間があるというのも、部下にしてみたら負担になることでしょう。

そんなわけで、うまく頻度を担保するには四半期に1回程度の「かしこまった面談」以外の、「普段の仕事中のちょっとした会話」をいかに有効に使えるかがポイントになってきます。さらに言えば、普段の時間に部下の話を聞くうえでは、いかに部下から話をしてもらうかが大事です。

あなたは普段、仕事をしているときに、どんな態度をとっているでしょうか?眉間にシワを寄せて、いかにも忙しそうにしていませんか?もし、そんな「忙しいオーラ」を撒き散らしていたら要注意です。

あなたに話したいことがある部下は、「今日も機嫌が悪そうだから話しかけるのはやめておこう」って思ってしまうかもしれません。そう。話しかけづらい上司には、部下は話しにきてくれないのです。

私が知っているある会社の社長さんは、毎日、分刻みのスケジュールですが、少しでも時間が空くとすぐに社長室を出て、現場のフロアを歩き回るそうです。そして冗談っぽく、「ヒマだからきたんだけど」なんて言いながら気さくに社員に話しかける。

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そうやっていると、「社長、実は例の件なんですが、今度、先方と打ち合わせすることになりまして」なんて、社員から話しかけてくるのだとか。「そうなのか、ちょっと個別に話すか」という流れになって、自然な形で情報が入ってくるというわけです。

厳しいときは厳しいし、キメるときはキメるけど、普段は気さくに話しかけてくれて、部下からも話しかけやすい上司。ツンデレではありませんが、ひと昔前のデキる上司は、そういう「真面目なとき」と「カジュアルなとき」の使い分けにセンスがあったような気がします。

「話しかけづらい上司」になるか、「話しかけやすい上司」になるかも、部下から見える「非言語」(つまり、どう見えているか)にかかっていると認識しましょう。表情やしぐさなどで、ぜひ「話しかけやすさ」を演出してください。

林 健太郎 リーダー育成家 合同会社ナンバーツー エグゼクティブ・コーチ

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はやし けんたろう / Kentaro Hayashi

一般社団法人 国際コーチ連盟日本支部(当時)創設者。1973年、東京都生まれ。バンダイなどに勤務後、エグゼクティブ・コーチングの草分け的存在であるアンソニー・クルカス氏と出会い、プロコーチを目指して海外修行に出る。2010年にコーチとして独立。日本を代表する大手企業などで、のべ650人を超えるビジネスリーダーに対してコーチングを実施。『コーチング忍者の2分コーチング入門講座』を運営。著書に『できる上司は会話が9割』(三笠書房)。

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