「気になる終点」狩留家駅、降りてみたら何がある? 中国地方ローカル線の旅で見た"赤字線"の実情

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沿線の景色は低い山々の間を縫うように水田や民家が広がる。盆地ゆえ、晴れていた天気から急に霧が立ち込め、やがて再び陽光が射し、山間に分け入っていく車窓は素晴らしい。

さて、備後落合発、木次行きは順調に山間を進み、三段スイッチバックを行く。三井野原―出雲坂根間は標高差が162mあるので、一旦坂道を下りて停まり、方向を変えて再び坂を下りる。観光客は楽しいが、どうしても時間がかかる。1992年、並行する三井野原道路に「おろちループ」と呼ばれる区間が開通、圧倒的に車が優位となった。

道路のほうが確実なのか…

木次線では、このスイッチバックが目玉の「奥出雲おろち号」という観光列車が人気を博しているが、老朽化により2023年度で運行終了とのこと。私自身、2009年7月に備後落合からこの列車に乗るはずが、集中豪雨で運休となり、代行バスで出雲横田までこの道路を通った。鉄道よりも道路のほうが確実なのかと寂しい気分になった。

9時20分発木次行きは、松本清張の推理小説『砂の器』で有名な亀嵩を通り、11時28分、木次駅に到着した。後続の列車で宍道に出て、出雲市に至った。

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