「気になる終点」狩留家駅、降りてみたら何がある? 中国地方ローカル線の旅で見た"赤字線"の実情
5月1日、10時前に広島駅に降り立った。10時5分発の芸備線快速「みよしライナー」は狩留家を通過するため、10時25分発の狩留家行きを待った。乗客は地元の人々。
芸備線は、岡山県の備中神代を起点(列車の始発は新見)として、東城、備後落合、三次を経て広島まで159.1kmを結ぶ路線である。東城―備後落合間はJR西日本でも突出した赤字路線だ。この点については後述する。
太田川沿いの広島近郊を進み、狩留家までは30分弱。風情ある赤煉瓦造りの木造駅舎であった。待合室には国鉄が1970年に始めた「DISCOVER JAPAN」キャンペーンのパネルがそのまま残されている。狩小川郷土史研究会による説明板があり、「ここは皇室のお狩場で鹿皮や肉などの供給、また戦闘訓練なども行われ、一般人は入ることが出来なかった。宿泊施設もあり、『狩場の留まる家』が地名の由来のようである」とのこと。
あたりは民家と太田川支流の三篠川くらいで何もない。駅裏に1軒だけラーメン屋があったので入った。実はこの店、広島では大変有名らしい。
国鉄時代の面影が消えた三次駅
11時47分発三次行き。先に乗った狩留家行きとは客層が異なり、観光客が多い。三次までどの駅舎も味わいがあるが、たまにテレビで特集される駅の人気ランキングなどではその俎上にも載らないだろう。
向原駅を過ぎると珍しい平地の分水界を通過する。瀬戸内海側と日本海側の分け目で、知らなければ通り過ぎてしまうが、旅するといつしかそんな知識も得られる。
12時59分、三次に到着。客は跨線橋に急ぎ、13時02分発の備後落合行きに乗り換えていく。この列車は備後落合で、1日3本しかない新見まで直通の芸備線と、1日4本しかない木次線の宍道行きに乗り継げるのだ。観光客が多かったのはそのためだったのだ。
今日は三次で旅を終える。2015年に改築された三次駅、以前は国鉄時代をしのばせる素朴な駅だったが、整備されその面影はない。観光案内所のレンタサイクルで散策。馬洗川を渡ると石畳の続く古い町並みが現れる。妖怪博物館もあり、観光需要を喚起している。
三次に泊まったことは何度もあるが、早朝の三江線(2018年3月31日限りで廃線)が目的で、まったく町を見学していなかったことを反省した。
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