「不登校専門オンライン教室」が力注ぐ「自己肯定感向上」4つのポイント 個別に寄り添い「好きの探究」で自走を目指す
また、2分間の動画を作れた、プレゼンテーションのスライドを10枚作れた、というように「自分にもできた」という成功体験を生み出すため、アウトプットを大切にしている。感謝される体験も重視しており、講師は日頃から子どもたちから知らないことを教えてもらったときなどは、きちんと「ありがとう」と伝える。コミュニケーションに自信が出てきた場合には、希望者を対象に2~4人の少人数ゼミも開催。誰かの役に立てたという感覚を育めるよう、子ども同士で教え合う時間を取るようにしている。
こうしたサポートの中から、自己肯定感を高めるには以下の4つのポイントが重要だと辻田氏は考えている。
2.自分のよいところに気づくこと
3.成功体験を重ねていくこと
4.自分が誰かの役に立てることを知ること
活動の中で、大きな成長を見せる子も少なくない。例えば、猫が大好きな子は、野良猫の写真撮影をするうちに猫がいつどこにいるかの記録を取り始め、猫の縄張りマップを完成させるなど、どんどん探究を深めていった。
当初はオンラインの画面にも顔を出せなかった子が、1人で参加できるようになって好きな絵に取り組み始め、4カ月後にはオリジナルキャラクターをLINEスタンプにしたケースも。「その子は、次はCanvaというアプリを使ってデザインに挑戦することになりました。講師との信頼関係ができ、成功体験ができると、さらに活動の幅が広がっていきます」と、辻氏は話す。
ゴールは「意識が他者や未来に向き自走し始めること」
この2年弱の間に、通信制の高校に進路を決めた子と、学校生活が楽しくなった子の2名が卒業していった。
「とくに後者の子は、中学には何とか通えていたのですが、不安の強い子でした。でも、地理が好きでGoogle Earthで興味のある場所を調べる活動を続けるうちに一人旅をするなど活動的になり、最終的には生徒会に立候補するので忙しくなるからと卒業していきました」
しかし、学校復帰を明確なゴールにはしていない。意識のベクトルが他者や未来に向き自走し始めること、つまり本人を含む家庭が、次の道を決められるようになることを目指している。「その結果、学校に復帰する子もいますし、ホームスクーリングを決めるご家庭もあります」と辻田氏は話す。
保護者からも「これまで合う場所を見つけられなかったが、久しぶりに子どもが生き生きと話している姿を見られてうれしい」「教育の伴走者がいるだけで、子育ての肩の荷が下りる」といった声が届いており、主に口コミで受講者は全国に広がっている。中には海外の日本人学校在籍生の受講者もいるという。
辻田氏は、今後利用者が増えていく中で、家庭の経済状況に応じた減額制度を実現するほか、蓄積したノウハウを新たな居場所づくりに還元したいと語る。
「リアルな学習拠点や、1人ひとりの特性に配慮したオルタナティブスクールなど、『学ぶってめっちゃ面白い』という場所をつくれたらいいですね。どうしても大人数が合わない子たちはいるので、学校の先生方と連携しながらのサポートもできるといいなと思っています。また、保護者の方も周囲の目を気にして、地域で孤立してしまう場合が少なくありません。こうした問題も含めて解決していきたいと考えています」
(文:國貞文隆、注記のない写真:ワオフル提供)
東洋経済education × ICT編集部
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