遺産の少ないあなたが、税務署に狙われる日 半世紀に一度の相続税大改正の衝撃

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だからこそ、納税者は税務調査、さらには実地調査が実際にどう行われているかをもっと知っておく必要がある。税務調査というと有無を言わさぬ強権が発動されるイメージがあるが、実態はそんなことはない。しっかりと準備しておけば、十分に対処できる。

「無申告・富裕層・海外資産」にご用心

 国税庁が今特に力を入れるのは、3事案ある。「無申告・富裕層・海外資産」だ。

無申告については相続税で特に注意が必要だ。国税庁は相続税の申告が必要だと知らずに申告しないケースの頻発を恐れている。こうしたケースを防ぐため、「今年の改正で初めて申告対象となる層に向け、徹底的に周知・広報する」(国税庁資産課税課)と話す。

週刊東洋経済2015年2月14日号の特集は『税務署が来る』です。相続増税であなたも税務調査と無関係ではいられません。企業に対する調査も変化。「税務署」を全40ページで総まくりにしました。購入はこちら

まず今年の路線価が発表される7月までに、申告要否を簡単に判定できるシステムを国税庁のホームページ上に設ける。そして現在80ページ以上にのぼる申告書の書き方をまとめた冊子は、ページ数を4分の1程度に絞り、夏前後に税務署の窓口へ設置する予定。民間団体との連携も深め、税務署には税理士事務所が開く無料相談会の案内チラシを積極的に置き始めている。

従来のように「相続増税を知らなかった」ではすまされない。納税者は制度の内容を理解し、税務署と向き合う準備を進めるべきだろう。たとえ“うっかり漏れ”であっても、無申告事案に実地調査が入ると、多くは加算税と延滞税が課される。知識を身に付け、自分の身は自分で守らなければならない。

並木 厚憲 東洋経済 記者

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なみき あつのり / Atsunori Namiki

これまでに小売り・サービス、自動車、銀行などの業界を担当。テーマとして地方問題やインフラ老朽化問題に関心がある。『週刊東洋経済』編集部を経て、2016年10月よりニュース編集部編集長。

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