廃止で逆に脚光「ジュニアNISA」は始めないと損 「子ども自身が積み立てる」は大きな勘違いだ

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大学進学の費用など教育資金の積み立てが主な目的とされていたので、制度変更前のジュニアNISAは子どもが18歳になるまで運用資金の引き出しができませんでした。それが制度廃止に伴い、この引き出し制限も解除されました。

2024年1月1日以降なら何歳でも引き出せるようになり、教育資金以外の用途にも使えるようになったことから、使いやすさがグッと向上しました。必要な時に引き出せるのは安心ですね。

ただし、引き出す時は一括が原則。引き出した後、口座は廃止されるので、引き出すタイミングは慎重に! これは注意すべきジュニアNISAの落とし穴のひとつです。

また、ジュニアNISAの申込みは、つみたてNISAよりも手続きが大変なことは心得ておきましょう。

まず、親が口座を保有する証券会社で口座を開設する必要があります。その際、子どもの確認書類(住民票、戸籍謄本、マイナンバーカード)なども用意する必要があります。

必要書類も金融機関によって、微妙に異なります。ここでめげずに手続きを完了させましょう!

覚えておきたい!「ジュニアNISA」の注意点、問題点

さて、制度廃止後は口座のお金はどうなるのでしょう?

制度廃止後もジュニアNISA口座内の運用資金は、子どもが18歳で成人するまで引き続き非課税で運用できます。

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ただし、5年間の非課税期間が終了する時点で、ジュニアNISA口座内の運用資金は継続管理勘定へロールオーバーする手続きが必要です。

継続管理勘定とは、金融商品を引き続き保有するための非課税の勘定のことです。この勘定では新規の投資はできず、運用するだけになります。

たとえば、2022年(子どもが4歳の時)に始めれば、9歳までが非課税で運用できます。それ以降は継続管理勘定で成人まで非課税で運用できるというわけです。

その手続きをしないと、課税口座に時価で払い出されてしまうので、注意が必要です。手続きの時期などは金融機関によるので、金融機関からのお知らせはまめにチェックしておきましょう。

出典:『知りたいことがぜんぶわかる!つみたてNISA&iDeCoの超基本』
酒井 富士子 経済ジャーナリスト

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さかい・ふじこ / Fujiko Sakai

経済ジャーナリスト/金融メディア専門の編集プロダクション・株式会社回遊舎 代表取締役。日経ホーム出版社(現・日経BP社)にて「日経ウーマン」「日経マネー」副編集長を歴任。リクルートの「赤すぐ」副編集長を経て、2003年から現職。「お金のことを誰よりもわかりやすく発信」をモットーに、暮らしに役立つ最新情報を解説する。著書に『マンガと図解でよくわかる つみたてNISA&iDeCo&ふるさと納税 ゼロからはじめる投資と節税入門』(インプレス)、『おひとりさまの終活準備BOOK』(三笠書房)などがある。

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