アサヒビール流グローバル人材育成術、語学よりも実務力を重視

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小


 つまりは、適材適所の方針で社員を育成していくということである。

仮に「海外要員」というくくりを設け、それを必要以上に社内に意識させていくと、その社員が他部署やグループ会社への異動が難しくなることもありうる。そのように“膠着した人事”は大企業で見掛ける。特にこの十数年は、事業部制の浸透で他の事業部への異動が難しくなりつつある。同社は、そのような状況になることを避けようとしている。

今後、英語の学習やTOEICなどの受験を社員全員に義務づけることは考えていないという。「グローバル化=英語力の養成とは考えていない。社員らに英語の学習を強制させることも考えていない。それは、自主性を重んじる社風になじまない」(三浦氏)。

昨年から、全社員を対象に「国際塾」という学習会を始めている。たとえば、それぞれの部署で希望があれば、人事部のオーストラリア出身の社員がそこに出向き、欧米のビジネスマナーや文化、英会話などを教える。任意参加であり、人事部が強制するものではないという。3600人の社員のうち1000人ほどがすでに参加したという。

アサヒビールのグローバル化を人事の観点からとらえると、着実な進め方をしている。“英語力の養成”に重きを置く一部の企業の後を追うこともなく、自社にとっての強さも見失うことがない。その司令塔が、人事部であるのだろう。

◆アサヒビールの業績予想、会社概要はこちら

[+画面クリックで詳細チャートを表示 <会員登録(無料)が必要です>]

(タイトル横写真:2010年9月、P&Nビバレッジズ・オーストラリア社の買収を発表する泉谷直木社長 撮影:尾形文繁)

よしだ・のりふみ
人事・労務分野を中心に取材・執筆を続ける。著書に『あの日、「負け組社員」になった…』(ダイヤモンド社)、『いますぐ、「さすが」と言いなさい!』(ビジネス社)など。

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事