米為替報告書が日本の金融3当局会合を台無しに 米国は為替介入は例外的な環境に限定と釘を刺す

✎ 1〜 ✎ 786 ✎ 787 ✎ 788 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

インフレ抑制に奔走する米国と金融緩和の継続に固執する日本との金融政策格差を背景に円安進行が止まらない。財務省と日本銀行、金融庁は急速な円安進行へのけん制を強めているものの、米財務省は為替介入に改めて釘を刺したことが、円弱気派を側面支援する形になったとの見方が市場の一部で出ている。

「3者会合は一定の警戒感を誘ったが、米消費者物価指数(CPI)と米為替報告書でかき消されてしまった」。クレディ・アグリコル銀行の斎藤裕司外国為替部長は同報告書について、「日本が自国の事情で金融緩和し、その結果金利差拡大により円安になっているのであれば、介入はできないと言われてしまった格好」だとし、米国の景気減速感やインフレ頭打ち感が強まるまでは円安・ドル高の流れは止まらないだろうと話した。

  

政府と日銀は10日の国際金融資本市場に関する情報交換会合(3者会合)後に、最近の急速な円安進行を「憂慮」し、「必要な場合には適切な対応を取る」と表明。異例の声明文発表や従来より強い表現を受けて外国為替市場では一時円の買い戻しが進んだが、海外時間に発表された米CPIが予想を上回ると円売り・ドル買いが再燃。週明けの東京市場では一時約24年ぶりとなる135円19銭を付けている。

 みずほ証券の山本雅文チーフ為替ストラテジストはリポートで、事前に上振れリスクが指摘されていた米CPI発表や為替報告書の後に3者会合を行った方が効果は大きかったと指摘。その上で、米CPI後の米金利上昇でドル・円は米日5年金利差に近い水準に近くなっており、ファンダメンタルズから大きくかい離した水準とは当局が指摘しにくくなってしまったと分析している。

松野博一官房長官は13日、米国の為替報告書の介入に関する記述について、「近年の報告書で繰り返し使われてきた表現を踏襲したものであり、何ら新たな見解が示されたものではない」と述べた。米財務省は10日公表した同報告書で、日米金利差の拡大が続き、日本の金融当局がイールドカーブコントロールを維持する中、今年に入り一段と円安が進んだと指摘。その上で、「介入は適切な事前協議の上で、非常に例外的な環境に限定されるべきだ」と従来の主張を繰り返した。

 

More stories like this are available on bloomberg.com

著者:小宮弘子

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事