UBS AGは円相場が年末までに1ドル=124円に向けて反発すると予想している。日本銀行の金融緩和と大幅な円安に対する国内批判の強まりなどが円の上昇を促す可能性が高いとみている。日本の経済成長や国際収支の改善、米国の利上げペース鈍化によるドル高の反転も後押しするという。
ストラテジストのテック・レン・タン氏(シンガポール在勤)は9日付のリポートで、円が上昇に転じるための条件とその蓋然(がいぜん)性を示した。その中で、日銀が国内物価が持続的な上昇軌道にあるとの評価を改めることや、インフレ期待が上放れする懸念を強めることが円安反転の最も強力なきっかけになるが、その可能性は低いとした。米国の対日貿易赤字が全体の6.6%で、米国が高インフレと労働市場のひっ迫に直面する中、米財務省が円安に歯止めを掛けるよう日銀に圧力をかける可能性も低いと論じた。
一方、輸入物価の高騰が家計の購買力を圧迫する中、7月の参議院選挙に向けて世論の不満が一段と強まり、日銀は金融緩和の費用対効果の再考を迫られる可能性があるという。円安による輸出の強化、海外旅行者受け入れ再開による観光収入および国内成長、インフレの押し上げ効果も、徐々にではあるものの円の上昇要因になるとみている。
今年10-12月期には広範なドル高が反転すると予想。米国の経済成長とインフレが緩やかになるのと同時に米金融当局が利上げペースを緩め、タカ派トーンを弱めることで、米債利回りの安定化とともにドル・円の下落を促す可能性が高いとしている。
タム氏はドル売り・円買いポジションのエクスポージャーが管理可能な水準の投資家には、そのポジションを持ち続けることを推奨。ただ、短期的にはドル・円の上昇モメンタムが強いため、大規模なドル・円ショートを抱える投資家についてはエクスポージャーの管理が極めて重要としている。
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著者:小宮弘子
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