任天堂「負の連鎖」、4年ぶり黒字を喜べず 3DSが国内外で苦戦、WiiUも振るわない
業績悪化の元凶となったWiiUも不振が続く。
14年5月にはハードの普及を後押しするキラーソフトとして『マリオカート8』、12月には『大乱闘スマッシュブラザーズ』を発売。そのかいあって今期は360万台と販売増に転じる見通しだが、これは発売初年度の345万台と大差ない。国内市場だけを見ると、大きく減少に転じている。背景には、年末商戦を『妖怪ウォッチ』『ポケットモンスター』シリーズなど3DS向け人気ソフトに持っていかれたことが考えられると、任天堂側も認めている。
次世代機の開発も
「WiiUはこのままで終わりとは思っていない」(岩田社長)。しかし、キラーソフト連発に次ぐ、有効打が見えてこないのも事実だ。たとえば、WiiUゲームパッドを生かした新作ゲームで爆発的ヒットが出るなど、ウルトラC級の挽回策なしには改善は見込めない。
何とか、通期で4年ぶりの営業黒字化への道筋はつけたが、問題は来期以降だ。岩田社長は「Newニンテンドー3DSで一山作れると思っている」と自信を見せたうえで、「17年3月期に任天堂らしい業績を目指す目標は変わっていない」と言い切る。が、過去最高の営業利益を記録した09年3月期の5552億円など、遠く及ばない。
水面下では3DSの後継機となる次世代ゲーム機の開発も進む。通信機能を重視した仕様などさまざまな憶測が飛び交うが、3DSからの世代交代には慎重にならざるをえない。据え置き型ゲーム機がWiiUで移行に失敗したことを考えると、同じ轍を踏むわけにはいかないからだ。
その一方、スマートフォン向けゲームについては、「スマートデバイスには物理的なボタンがない。『スーパーマリオ』などを楽しく遊べない」(岩田社長)と、あくまで専用機の必要性にこだわる姿勢は変わらない。
黒字浮上は視野に入るが、復活の道筋は見えない。任天堂の苦悩は続きそうだ。
(「週刊東洋経済」2015年2月7日号<2日発売>「核心リポート04」を転載)
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