池袋で「人が巻き込まれる事件」が多発する怪奇 辻斬りの供養のために作られた「四面塔」の存在
次に、駅に戻るような形で、2015年、8月16日、夜の9時半頃に発生した乗用車暴走事件の現場に向かう。
東急ハンズ前から、そう時間はかからない、東口前のファッションブランド「ZARA」の前だ。ヤマダ電機と道を隔てたところにあるビルの1階で、より四面塔に近い。
車を運転していたのは北区の医師、53歳のKという男だった。Kの運転するベンツが、地下駐車場から出て、転回すべきところを直進し、歩道に乗り上げ次々と人をはね、ZARAに突っ込んで停止した。1人が死亡、4人が重軽傷を負う。
Kにはてんかんの持病があったが、普段、朝夕飲むはずの薬を事件当日の夕方は飲んでおらず、「てんかんの影響で運転中に意識障害に陥っていた」と判断された。Kは無罪を主張したが、懲役5年の判決が下り、2018年に確定している。
屋上から飛び降りた女性
そしてZARAからほとんど目と鼻の先にあるパルコの前に立ち止まり、屋上を見上げる。同じく2007年11月6日、午後1時頃、屋上から飛び降りた女性が、下を歩いていた38歳の会社員の男性に直撃し、女性は死亡、男性は意識不明の重体ののち、亡くなった。女性は25歳、統合失調症の入院歴があり、この日も通院の予定があった。
地下道を出るとJR池袋駅北口出口だ。ここから歩いてすぐ西口のほうへ移動すると、2014年、6月24日の午後7時55分の危険ドラッグ暴走事件の現場がある。
運転をしていたNは脱法ハーブを吸引し意識が朦朧としており、逮捕時には口からよだれを垂らしていた。この事故で中国人の飲食店店員の女性が亡くなり、6人が重軽傷を負った。Nには貸金業法違反と出資法違反の前科があった。
Nが吸引していたハーブは、この事件が契機になり指定薬物になり、また当時の東京都知事・舛添要一により、ドラッグの取締強化の考えが示された。Nは2016年に懲役8年の判決が下されている。
「池袋の事故や事件って、巻き込み事故ばかりなのよ」
ママの言葉が響く。
死にたい人間は孤独だから、人を巻き込もうとする。
罪のない、無関係な人たちを。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら