池袋で「人が巻き込まれる事件」が多発する怪奇 辻斬りの供養のために作られた「四面塔」の存在
新宿、渋谷に並ぶ東京の巨大ターミナル・池袋。「SDGs未来都市としま」を掲げる豊島区は駅周辺の大規模再開発を推し進め、街はいま大きく変わろうとしている。
しかし一方で、池袋では陰惨な事件が頻発してもいる。1999年の池袋通り魔殺人事件も、上級国民による暴走事故も、この街で起きている。それら悲劇の特徴は「無関係な人が巻き込まれる」ことだと、街の住人は指摘する。小説家・花房観音が取材の末に行き着いたのは、この地に古くからある、とある「怪異」の存在だった──。
ノンフィクション作家・中村淳彦との共著による最新刊『ルポ池袋 アンダーワールド』から一部抜粋・再編集してお届けします。
辻斬りの供養のために作られた「四面塔」
「池袋の事故や事件って、巻き込み事故ばかりなのよ」
カウンターの中で酒を作りながら、ママがそう口にした。
池袋西口からほど近い、古いビルの中にあるゲイバーだ。奥の席は荷物置き場となっていて、カラオケを歌う客で賑やかな店だ。
ママが数年前に、ふと何かの話の拍子に、先の言葉を口にした。
池袋の事故や事件って、巻き込み事故ばかり──。
「私はね、あれが何か関係しているんじゃないかって思っていて──」
四面塔って、知ってる?と、聞かれて、「知らない」と答えた。
「江戸時代、辻斬りが多くて、一晩で17人殺されたこともあるらしいの。その供養のために作られたのが、四面塔。駅を開発するときに、一度場所を変えたこともあるらしいんだけど、そのときも、いろいろ不吉なことがあってもとに戻したんだって」
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