シンクレア教授「若返りと長寿」を語る 生命最古の分子が特効薬に

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若返り・長寿研究は劇的に進化しています。私自身、現在、かつて自分が到達できると思っていた場所より、はるか先の場所に立っています。すでにマウスが長生きできる化合物を手にしており、それがどうやら人間にも応用できそうなのですよ……。まさか、そんな光景を生きているうちに見るとは思いもよりませんでした。

といっても、私は、まだ自分が人生の半分しか過ごしてないのを期待していますけどね(笑)。私のひとつの目標は、妻とともに120歳まで生きて、私をずっと応援してくれた母親に「ママ、実現できたよ!」と報告することなんですよ。

地球を離れて人類が生き延びるために

第5回「人間のフロンティアはどこまで広がるのか」より。人類の火星移住は実現するのか?(C)BRYAN VERSTEEG/MARS ONE

年をとると、人間はエネルギーが欠けてきて、体だけでなく心まで健康ではなくなります。ところが、いずれ100歳まで年をとっても、アイススケートをしたり、家でパーティーを開いたり、恋愛を謳歌したりと、いまの20代の若者と同じような行動をすることができるようになるでしょう。

私は、人間が1000年生きられるようになっても驚きません。現在の私たちは、今後何百年にもわたって進化し続ける研究の、ほんの数十年を見ているだけなのです。いつかきっとそんな技術さえも可能になっていくと信じています。

NASAの科学者ともこの話題について会話をするのですが、ひとつの惑星にのみ生きるのは、いかなる種であっても非常に危険性が高いのです。ほとんどの種は絶滅しますからね。人類はこの惑星から離れて、ほかの太陽系にある惑星に移住する必要があるのです。その際には、長寿化するための薬と、遺伝子工学技術が必要となるでしょう。

なにせ、異なる太陽系に到達するには、現状の技術では1万年かかるのです。せめて一世代で数百年も生きることができるようになれば、十分に実現可能なプログラムになるだろうと考えています。

私たちは、人類が紡いできた叡智を引き継ぎいでいきたいと思っています。1つの惑星に行き着くだけでなく、そこから銀河中のたくさんの惑星を目指して開発する。それがわれわれの種にとって大事なことなのです。新しい惑星に到着した人類は「地球からの移住計画」について書かれた歴史書を持っていてほしいですね。それはきっと、新しい「神話」となって語り継がれていくのでしょう。

別に、私は神を演じたいわけではありません。人間の進化における次の段階だととらえています。新しく住む場所を探し、生存の可能性を高め、種としてより生産的であろうとしているだけなのです。

NHKスペシャル取材班
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