自工会副会長「今や円安はデメリットの方が拡大」 資材価格高騰は2020年度比4兆円の減益要因に
日本自動車工業会の永塚誠一副会長は19日、原材料価格の高騰を受け、円安によって自動車メーカー各社の調達コストが増大するというデメリットが拡大しているとの認識を示した。
永塚副会長はオンライン記者会見で、輸出産業である自動車産業は円安が有利に働くとの見方があるが、「実態を言うと、それほど単純な構造ではない」と指摘。通常は車両の輸出時に得られる円安メリットで自動車メーカーの収益は増加するが、今回は「資材や部品輸入の価格が大変高騰しており、円安のデメリットが拡大している」という。
永塚副会長は、部品不足による供給制約で販売台数が伸びないため、自動車各社が円安で得られるメリットは限られる一方、「資材、部品輸入の面では価格の高騰で通常時を大変大きく上回るコスト要因になってしまっている」と発言。為替水準は市場が決めるものだが、自動車産業にとっては「経済のファンダメンタルズを反映し、安定して推移するのが大変望ましい」と語った。
自工会によると、資材価格の高騰で2022年度の営業利益は会員各社の合計で20年度比4兆円の影響が出る見通し。原材料高騰を巡っては、トヨタ自動車が今月の決算発表時に「過去に例がないレベル」と説明し、同社の今期利益は前期から大きく落ち込む要因になるとの見通しを示していた。
トヨタは今期2割営業減益に、原材料価格上昇が直撃-株価下落
また、会見に同席した自工会の豊田章男会長は(トヨタ社長)は、政財界の一部で原子力発電活用の推進を求める声が上がっていることについて問われると、「原子力によって戻れないふるさとができてしまったという現実を日本では経験している」と指摘。エネルギーや環境の問題は「安全目線」で議論を進めてほしいと語った。
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著者:稲島剛史
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