永守重信・日本電産社長--365日、朝から晩まで母に教わった全力疾走(上)

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永守重信・日本電産社長--365日、朝から晩まで母に教わった全力疾走(上)

永守重信は“ほら”を吹く。近頃、とくにすさまじい。

「あらゆるモーター分野で世界一を目指す」「いずれは世界中のモーター企業を買収する」。そして業績目標だ。「2015年度の売り上げは(今期から3倍の)2兆円」。

本人に言わせれば、「ほかの2人」に比べれば、かわいいものだ。ほかの2人とは、「ユニクロ」の柳井正、ソフトバンクの孫正義である。

柳井が掲げる20年度の売り上げ目標は今期の約6倍、5兆円。孫に至っては、30年後にソフトバンクの時価総額を200兆円(現状の60倍以上)にすると公言している。

永守が自ら名付けて「ほら吹き3兄弟」。3兄弟は意外な親交を結んでいる。とりわけ柳井とは、十年来の付き合い。永守の著書に感じ入った柳井から、パーティ会場で声を掛けられたのがきっかけだ。5年前、その柳井を通して孫の人物を知り、今では、お互いの会社に講演に行ったり、来てもらったりの関係だ。

いずれも超個性派のカリスマ経営者。そもそも会話が成立するのか、余計な心配をしたくなるが、「同じ業種だったら、本音は出ない。お互い業種もマーケットも違う。直接の競争相手ではないから、本音で話せる。こういう関係がいちばんいい」。

昨年の12月10日。東京・代々木の柳井の自宅で、3人は夕食を共にした。発案者は柳井である。「僕が経営の先生と認める2人の話を、じっくりと聞いてみたかった」。

柳井が口を挟むすきもあらばこそ、“要望”どおり、最初から最後まで永守と孫がしゃべりまくった。政治への憂いもある。後継者問題もある。GEのクロトンビルに範を取り、幹部養成機関を開校した柳井に、永守がぴしゃりと言った。「育成塾のようなもので後継者を育てようとしても、そううまくはいかないよ」。

18時30分に始まった会合は2時間で終わる予定だったが、いつしか時計の針は23時を回っていた。

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