オンキヨー破産「高性能でも勝てない」時代の現実 ハイエンド市場で生き残る商品と敗れ去る商品の差
ひとつは音楽アーティストの方に話を聞く機会があればピンとくるかもしれない話です。アーティストは実に深く録音にこだわります。マスター音源を聴くと違いがわかるそうですが、音が違う。それがCDというパッケージになるとどうしても簡素化してしまうのが彼らの不満です。
もうひとつ別の話ですが、レコード会社はマスター音源というものをとても大切な資産だと考えていて、昔は門外不出の財産でした。ところが時代が変わったということでしょう。最近ではハイレゾというほぼマスタークオリティの音源が販売されています。これが音楽業界の流通にかかわるひとたちにとっては信じられないほどの方針転換だというのです。
ハイエンド音源のユーザーは数%しかいない
言い換えると私たちが大好きな音楽アーティストが提供してくれる商品には、私たちがよく聴いている商品以外に、同じ曲なのに聴こえ方がまったく違う商品が存在し、それが販売される夢のような時代が来たということです。普通の音楽ストリーミングとハイレゾはそれほど違うにもかかわらず、ハイレゾがなぜか売れない。本当の意味でのハイエンド音源のユーザーは音楽市場の中でおそらく数%しかいないと推定されるのです。
実はかなりの数の音楽ファンがハイレゾを聴いてみるといい音と普通のCDの音の違いがわかるそうです。ライブと同じだといえばピンとくるでしょうか。ライブ会場のステージから聞こえるあの迫力のある音と、その興奮をもう一度味わいたいと購入した動画で視聴するライブ。たとえ同じ日の演奏であってもこのふたつは全然音が違って感じられるものです。
違いがわかるにもかかわらず音楽市場がハイレゾではない方向に拡大した理由は利便性です。レコードからCDにメディアが変わった段階で高音域と低音域の音が一定レベルで切り落され、それが音楽プレイヤーで聴く際にはAACやMP3のようにさらに圧縮され音が変わります。
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