伊豆急、JR通勤車を「ハワイアン」に改造した狙い 元京浜東北線209系「第3の人生」はリゾートで
伊豆急は「アロハ電車」のデザインコンセプトに「話題性を高めるため、他社でも例のないもの」「あえて電車らしくないデザイン」「女性や若年層に関心を持ってもらえるようなデザイン」の3点を掲げている。実際に、外観・内装ともJR時代とは様変わりした。
そうはいっても、もともとは209系。製造当初は「寿命半分」と考えられていたうえに、JR時代に一度転属して海沿いの房総エリアを走り回っていた車両だ。塩害などの影響も懸念されるが、車体の状態は大丈夫だったのか。
「209系の導入時の経緯は承知しておりましたが、実際に車両を確認すると想定以上に状態が良好で、当社での長期間の使用に叶うものと判断しました」と語るのは、伊豆急行運輸部企画担当課長の関谷稔氏だ。同社では現在、東急電鉄から譲渡された8000系が活躍中だが、製造から50年経つ車両が多く、車両の置き換えが必要になってきているとのこと。その中で、相互直通相手であるJR東日本で209系が廃車されるとの計画を聞き、譲受に至ったという。
「大規模改造不要」も利点
3000系はVVVFインバーター制御車両となるため、性能向上による運転動力費などのコスト削減が期待できるという。また、譲受した車両は1994~1996年製造で、伊豆急の中では最も若い車両になる。JR時代、房総エリアへの転属時に機器も更新しているので、今後長期間の運行が可能だ。
関谷氏は「JR東日本車両のため、大規模改造が不要だった」ともいう。8000系は中間車の先頭車化や中間車へのトイレ設置、海側座席のボックスシート化、ドア上には案内表示器を取り付ける改造を実施。さらにすべての先頭車両に増結・解結に対応する電気連結器を設置した。
一方、3000系は案内表示器をもともと備えており、トイレとセミクロスシートも房総エリア転属時に設置され、その際に編成も短縮されている。加えて、房総エリアでの運行時から高頻度で増結・解結を行っていたため、すでに電気連結器が備わっている。8000系の時ほど大掛かりな改造をしなくても高性能な車両を譲受・導入できる点で、209系に白羽の矢が立ったようだ。
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