テレ東「朗希の試合」急きょ中継できた納得の理由 箱根駅伝を初めて中継したテレ東のスポーツ史
プロ野球28年ぶりの完全試合を達成して一躍時の人となった千葉ロッテマリーンズの投手・佐々木朗希。その彼が登板する「千葉ロッテ対北海道日本ハム」戦を、テレビ東京が急きょ生中継して話題になった。「なぜテレビ東京が?」と思ったひともいたかもしれないが、実はテレビ東京は、昔から「スポーツのテレ東」でもあった。その歴史を振り返ってみたい。
ロッテ戦の日本シリーズ中継
今回の生中継のポイントは、佐々木朗希の所属チームが「ロッテ」だったことだ。
時は1970年にさかのぼる。この年の日本シリーズは、読売ジャイアンツと、千葉ロッテマリーンズの前身であるロッテオリオンズの対戦だった。
当時のテレ東は、まだ「東京12チャンネル」という名の東京ローカル局(「テレビ東京」になったのは、1981年10月)。もちろん自前の全国ネットワークもなく、とくに巨人戦は高視聴率が約束されるキラーコンテンツでもあったため、普通なら日本シリーズの中継など夢のまた夢だった。
だが、東京12チャンネルは、オリオンズの試合をそれ以前からよく中継していた。そこでその実績をタテにダメ元でオリオンズサイドに直談判したところ、その熱意に押されたオリオンズが、ホームの第3戦と第4戦(こちらはNHKとの同時中継)の放送権を東京12チャンネルに渡してくれたのである(金子明雄『東京12チャンネルの挑戦』、166~167頁)。
ゲスト解説に三原脩、野村克也、広岡達朗ら豪華な面々を迎えて放送された中継の視聴率は、第3戦が18.0%で、第4戦が12.2%(ともにビデオリサーチ調べ。関東地区世帯視聴率。以下も同様)。当時の東京12チャンネルとしては、上々の数字だった。
テレビ東京は、その後もロッテ戦をたびたび中継してきた。理由はそれだけではないだろうが、今回の中継実現は、そんな信頼関係の積み重ねの結果だったと言えるだろう。
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